満開のエダウチフクジュソウほか

                                   K.I

4月16日、Yさんに藤原岳を案内していただきました。 地元の方々もご一緒で、とても楽しい観察会になりました。色んな花が見ることができるようにとのご配慮で聖宝寺道を上り、大貝戸道を下りました。天候に恵まれ、展望台からは周りの山々がよく見えました。

今年は春が遅いそうで、まだあちこちに雪渓が残っていましたが、8合目より上ではちょうどエダウチフクジュソウが満開で、斜面一面に黄金色の花が輝く素晴らしい景色を見る事ができました。

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エダウチフクジュソウ

過日教えていただいた、萼が花弁と同じ長さであることと葉裏に毛が生えていることを実物を見ながらもう一度教えていただきました。 雪が沢山残っている谷筋にはまだ蕾の状態の個体が沢山ありました。なお、シコクフクジュソウは尾根の方にあり、藤原岳にはないそうです。
満開のフクジュソウを見ることができただけでも藤原岳に登った甲斐があったというものですが、フクジュソウ以外にも、珍しいヒロハノアマナ(葉に白い筋)の愛らしい姿をあちこちに見る事ができました。 ミヤマカタバミやヒトリシズカも沢山咲いていて癒されました。

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                  ヒロハノアマナ


セツブンソウは既に果実をつけていましたが、アズマイチゲ、キクザキイチゲ、スハマソウ、コセリバオウレン、そしてミノコバイモ(葯が白色)の花まで見る事ができ、ラッキーでした。
イチリンソウやニリンソウも咲き始めていました。(麓の民家の玄関先で育てられていたイチリンソウは花がものすごく大きくてビックリ。) カタクリは一つだけ蕾を見ましたが、ほとんどまだ葉だけ、エビネは地面から芽がほんのちょっと出ている状態でした。

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                   アズマイチゲ                  キクザキイチゲ

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                   スハマソウ                   コセリバオウレン

ハクサンハタザオ、カテンソウ、ユリワサビ、セントウソウ、マルバコンロンソウ、ヤマネコノメソウ、スズカボタン、ニシキゴロモ、オニシバリ又はチョウセンナニワズ、タチツボスミレ、コタチツボスミレ、シハイスミレ、ノジスミレ、ムラサキケマン、ミヤマキケマン、サワハコベ、ミヤマハコベ、イズセンリョウ(木本)なども咲いていました。 ニシノホンモンジスゲや滝の付近ではタキミチャルメルソウやワサビも見ることができました。
そのほか、花はありませんでしたが、バイケイソウやカワチブシの群落があったり、スズカアザミ、マルミノウルシ、イワタバコ、クリハラン、まだちっちゃいエンレイソウやサワギク、ウラシマソウ、スズカカンアオイ、ツクバネソウ、オオバタネツケバナ、キランソウ、ナツトウダイ、黄緑色のオウレンシダ(好石灰植物)、クモノスシダ、トウゴクシダ、ヒカゲノカズラ、ツチグリ(キノコ)も見る事ができました。

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                     ミノコバイモ

木本ではシロダモの若芽がほの暗い林の中で銀色に輝いていて、まるで花のようで見とれました。 シキミ、アブラチャン、キブシ、モミジイチゴ、アセビの花も咲いていました。 ツツジの類はまだでした。 山荘から展望台への道には鹿が食べない有毒のハナヒリノキが沢山ありました。 オニグルミの実が落ちていて、リスは真っ二つに割って食べ、ネズミは穴をあけて食べると教えていただきました。 シマリスが雪の上を走っていたり、水たまりにヒキガエルとその卵がいっぱいあったりしました。

害草ハルザキヤマガラシはまだ小さい状態でしたが、地元の方々は抜いておられました。

藤原岳は花の百名山として有名ですが、全国的に珍しい植物もあると知りました。
優れた観察眼の皆さんのお蔭で沢山の花に出会うことができ、感謝の気持ちで一杯です。
桑名駅から藤原岳の麓までの車窓からは山肌にサクラが沢山見え、まさに山笑う春でしたが、豊かな自然にそぐわない工場や削られた斜面を間近に見るとやはり異様な感じがしました。
                                                                  2017.04.20 記
















 

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# by mamorefujiwaraMT | 2017-05-11 16:15 | 花だより
NHK番組 にっぽん百名山「藤原岳」2016.06.23放映、を見る。
                                      藤原 昧々

ひとことで感想を述べれば、「王さまは裸だ」、つまり「『花の百名山』藤原岳はもう「枯木の山」だとNHKが知ってしまったものの、番組制作上、引っ込みがつかなくなった苦しみがにじみ出た中途半端な報道だった。

藤原岳は深田久弥の「日本百名山」に入る山ではない。 ただ、田中澄江がそのベストセラーになった著書「花の百名山」に大きくとりあげてくれたことがあり、田中氏同様に、全国の植物の専門学者たちからも自然の豊かさで全国的にも高い評価を得てきた山である。 しかし、地元の自治体・いなべ市や三重県行政からはそれ相応の評価や保護を受けてはこなかった山である。 深田は登山者に知られていない山を「不遇の山」と称した(不適切な表現だと私は思う)が、地元行政から大企業所有の山として敬遠され、開発と荒廃への対策を放棄されてきた花の名山の意味ではまさに「不遇の山」と言えよう。

近くに在む藤原岳植物にくわしい友人といっしょにビデオの再放送を見た。 彼は、三重県のレッドデータブックの植物部門の執筆者の一人で、大企業の開発や活動による希少植物の激減・消滅への具体的な指摘と注文をあけすけに書くたびに県の編集担当者から文章の訂正を求められて困ると始終こぼしてきた人物だ。


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ネコノメソウは葉が対生            三重県にミチノクフクジュソウは見つかっていない

その彼の指摘によれば、この番組のなかに、大きな誤りが2点あった。 ヤマネコノメソウがネコノメソウと、エダウチフクジュソウがミチノクフクジュソウと画面に大きく明記されていた点である。
ヤマネコノメソウは葉が互生、ネコノメソウは葉が対生である。初歩的な誤りである。

とくに後者の「ミチノクフクジュソウ」なる名前は、番組のあとで、「三重県あるいは藤原岳にもミチノクフクジュソウがほんとうにあるのか?」という問いあわせが各方面から寄せられるのではないか、という懸念を彼は語っていた。 三重県での「シコクフクジュソウ」の存在は知られてきたが、まだミチノクフクジュソウは県内では発見されていない花である。

番組の花の名は案内者が語ったものではなく、誰か背後にしかるべき監修者がおられてのもののはずだが、まちがいとはなんとも情けない。  私は藤原岳の案内者を山登りの練達者として尊敬するが、人気報道番組の花の名前をわずか数個のうちで2つもまちがえて放映するのは製作者の責任に他ならない。 4月中旬の撮影で、6月の放映である。 監修の杜撰さには、あきれてしまう。

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ヤマネコノメソウ                エダウチフクジュソウ

このNHKの藤原岳特集を見て、私は他の「にっぽん百名山」のBS番組も同レベルの、まちがいの多い、いい加減な内容なのか、と初めて疑問をいだいたものだった。

番組の途中には、「休憩するときの注意」など、要らずもがなの時間かせぎがありもっと花の紹介が欲しいともどかしかった。これは山歩きの注意事項として番組の定番にしてあるのだろう。 しかし、4月中旬の撮影とはいえ今年は異常暖冬だったから、多くの花の紹介に枚挙の暇がない、妍を競う花々の応対に30分番組のどこをどう削って編集するかに制作者は苦心するはずだが、いっこうにその苦しみが感じられない弛緩しきった内容だったのだ。 案内者もカメラマンも製作者も、「花の百名山」にしては、この山のあまりの目につく花数の少なさに困り果てたのではないか。 なにしろ8合目までで紹介した花の数はわずかに5個である。
私の10数年まえの経験ならば、その10倍の50数種の花の名は現場で詳しい方から聞けたであろう。

余談ではあるが、あの地図のグーグル社の藤原岳の紹介写真では、山頂をかざる5月の「高山植物」は、いまや太平洋セメントの「鉱山植物」である帰化害草・ハルザキヤマガラシの黄金なす群落が見せ場となっている。 企業の開発にともなって、害草ははびこり、シカの食害もひどくて山頂部は丸はだかの惨状であるが、ハイカーの見方はさまざまであろう。今もたいへん人気の山である。
しかし、「花の藤原岳」はいまや「死に体」である。

現在のNHKに対して、花数の激減、大企業の採掘活動の影響や地元行政の山の保全への取り組み不足を訴えてキャンペーンしてほしいと本気で期待して、私はこの番組を見たわけではない。 
ただ、いつも街道から見る、裸土がむきだしのあの不毛の、「夏の大三角形」ならぬ「北勢の大三角形」は心なしか画面に靄かボカシが入っていて、心に突き刺さるいつものあの痛みの印象はテレビの画面のどこにも出ていなかった。
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北勢の「大三角形」                 藤原岳孫太尾根の現状

結局、番組は、田中澄江が感動したというミノコバイモ(当時はアワコバイモ)を核にして編集され、時間をもたせてあった。 (彼女の「花の百名山」と小泉武栄「山の自然学」の書については、本ブログにもすでに紹介ずみである。)

彼女は当時つぎつぎと路傍に咲く草花にであってその著書にこう記している。
「藤原岳には花が多いという。 去年の春、大台ケ原の大杉谷を下った帰りにバスをまわしたが、二日目の下りから降り出した雨が、強い風まじりのざんざん降りとなったので、民宿のかたわらにある藤原岳自然科学館で、館長の清水実氏から、映画や展示物の説明をうかがった。」
著者は2回目の藤原岳の訪問で、路傍の、「エイザンスミレ、イチリンソウ、ニリンソウ、アズマイチゲ、エンレイソウ、キクザキイチリンソウ、フクジュソウ、レンプクソウ、カタクリなど」の花々を愛で、八合目付近の谷では、アワコバイモ(ミノコバイモに訂正)やヒロハノアマナを初めて見て「それだけで登ってきた甲斐があった」とその感激を綴っている。

NHK番組にもどるが、藤原岳の今年の4月中旬ならば、数は激減したとはいえ、ほかにもニシキゴロモ、ミヤマキケマン、ミミナグサ、ツクバネソウ、ホウチャクソウ、ハクサンハタザオ、トウゴクサバノオ、タニギキョウ、マルバコンロンソウ、ユリワサビ、ケスハマソウ、シロバナネコノメソウ、スズカボタン、コセリバオウレン、キンキエンゴサク(ヒメエンゴサク)、キバナノアマナなどの花々が見られたはずであろう。 スミレ類だって、放映のタチツボスミレのほかにも、ナガバノスミレサイシンとかシハイスミレなどがきっと見られたのではないか? 長く鈴鹿の山を歩いてきた植物音痴の私でも、そんな疑問をいだいた。
 
監修者の怠慢と番組制作者の弛緩と不勉強、それは籾井会長体制下のNHK報道の低迷ぶりを象徴するものではあるが、今回の「藤原岳」特集にながれる安易な映像や報道の不首尾には私は正直、驚いてしまった。 
藤原岳を愛し親しんできた私にも、地元のいなべ市にも、この報道はたいへん残念なことだった。

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ミノコバイモ                   ヒロハノアマナ

 
                                  2016.06.25 記


NHKの視聴者対応部門に、住所・実名で感想を送付したが、7月19日現在、なにもご返事をいただいていない。
















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ハルザキヤマガラシ情報ー5
2016年5月のハルザキヤマガラシ

去る5月18日に藤原岳山頂に4名で登ってきた。 この日は、同行の主導者が、三等三角点付近にあるヒメニラの確認や山頂のフクジュソウの葉の採取(専門家へのDNAサンプル送付)など複数の用があったため、ハルザキヤマガラシのほうは、実験地の様子を見たり古くなった目印の赤布の交換などが主となって、害草の駆除はほとんど短時間しか作業ができなかった。
18日はさわやかな晴天で、ふりそそぐ日光に洗い清められ、藤原岳・展望丘がこんなに陰影濃く美しく見えたのも久しぶりのように思えた。

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展望丘に居る人からは、グーグルマップの紹介写真数葉の誤った説明にあったとおり「5月中旬の麗しい高山植物群落」ならぬ「鉱山植物」の外来種・ハルザキヤマガラシが黄金色の海となって眼下に展開していたことだろう。  おなじことが、伊賀の山・旗山(649m)の山頂でも見られている。 ここも山頂近くまで鉱山会社が大きく山を掘削しており、山頂にはこのころ、ハルザキヤマガラシならぬジギタリスの花の群落が付近を紅く染めているはずだ。 ジギタリスは花期の長い花と聞くので、旗山山頂もこの「高山植物群落」で有名になり、以前にも増して親愛される山となるかもしれない。

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砕石・砂利をとるために削られた旗山        山頂まで土肌になった旗山

ここのわずかに残ったフクジュソウも知人の探求の努力の結果、ふつうのAdonis ramosa ならぬ他の種となるとのことで、藤原岳孫太尾根や入道ヶ岳のフクジュソウと同じく三重県下の貴重種として今後あつい保護が必要な花のようになりそうである。 この旗山は三重県下にあって亀山以西の名山、伊賀地区の名山として渋いハイカーに親しまれてきた山であり、ちょうど霊山と向かいあう位置に存在する。 藤原岳孫太尾根と同様に、この山も建材会社が砕石や砂利の採取を目的に山の半分近くを削りとっており、そのむきだしの土肌は名阪国道の車窓からも一望できる。 
今年2月に訪ねたおり、山頂の若芽の群落を見て、これ何なんだろうかと話題になり、一株持ち帰って庭で育ててみたら、なんと全草に猛毒をふくむジギタリスであり、鑑賞用ならびに薬用にも使われるというので、旗山や余野公園ちかくにある大手医薬品会社の薬草園あたりから鉱山開発に伴って逸出したと思われるが、あるいは鉄塔建設が関係したかもしれない。

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群落をなす旗山山頂の不明種             自宅で咲いたジギタリス

本題の藤原岳のハルザキヤマガラシのことに戻るが、現在、山頂におけるハルザキヤマガラシ非侵害の広野を観察すると、ササとイワヒメワラビの枯れ死に残骸と新しいイワヒメワラビの若葉が主たる植物のようである。 みなの目につく小屋周辺はさすがにハルザキヤマガラシの存在は見なかっが、いなべ市教育長の「まったく生育していない」という議会答弁とは異なって、展望丘がわの大斜面や山荘うらがわの丘陵にも、すでにハルザキヤマガラシは点々と進出しだしている。  旗山のジギタリスのように、いずれは藤原岳の山頂部全体もハルザキヤマガラシの展開がふつうの姿になるのかもしれない。 行政はこうした事態を放置しておいて良いのだろうか? 何らかの対策を講ずるべきではないのだろうか。

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咲きにおう「鉱山」植物ハルザキヤマガラシ    5、6月は黄金の帯になる

私たちには、駆除作業後の時間を経た結果の観察と反省が必要だ。それも長期の観察がだいじだ。 作業としては、春と夏後の年2回の抜き取り作業が必要ではないかと感じている。 これまでの経験では、2,3年の抜き取りの継続で、かつて密生していたハルザキヤマガラシの群落地は写真のとおり今回一本も生育を見ない場所にまで完全に押さえこむことができたが、その後の状況は不明であり、今後の見通しもそう甘くはないだろう。 左の写真では見づらいが、抜いたあとの土地には、在来種のヒロハアマナの葉が多数みられた。生育が楽しみだ。

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抜きつづけた実験地の現状             草木の無い山頂の広い空地

刈るにしろ抜くにしろ、処理した害草の放置方法の工夫が必要なように感じる。 抜いたものに土を大量に付けたままでは再び花を咲かし種子を生産し拡散してしまう。 ビニールシートなどで囲んで周囲を石で押さえ、内部の草を枯らす方法などはどうであろうか。

それと、山頂部の小屋ちかくまで鉱山会社の車道は伸びてきており、多数の作業者が会社の協力さえあれば道を使って容易にハルザキヤマガラシ駆除の現場まで車で往復できるようになっている。

今こそ藤原岳の自然保全への、行政と会社の姿勢を問いたい。        2016年5月25日

                                    藤原昧々 記




















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ハルザキヤマガラシ情報ー4
今春2016年のハルザキヤマガラシ報告
                                藤原昧々 記

4月19日(月)、天気は快晴。 気になっていたハルザキヤマガラシの現状を見たくて藤原岳山頂部に登ってきた。 あわせて抜き取り作業もやってきた。 私事で恐縮だが、このところ体力の衰えや体調の不如意がつづいており、心配していたヒザ痛もやはり起こって下山にたいへんな時間がかかり、戻った駐車場には、我々の車一台だけがぽつんと残っていた。

今年は、晩冬から初春にかけて気候が異常に暖かく、桜の開花も早かった。 この日は、ユリワサビやマルバコンロンソウの白い花がとりわけ美しく咲き乱れ、ヒロハノアマナ、トウゴクサバノオ、ミノコバイモの花もたくさん見られた。
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ヒロハノアマナ                    トウゴクサバノオ


さて、私たちの7、8m四方の実験観察地では、ハルザキヤマガラシの生育は50~60個くらい見られた。 もとは数倍以上だったわけで、これを多いと見るか私のように少ないと見るかはわかれるところだろう。 
心なしか、増えた空白地には、作業による土壌攪乱どころか、在来種のヒロハノアマナの生育密度が高くなっており、従来散見されたオオバコ類、イ、ドクダミなどは皆無だった。 これは我田引水的な感想かもしれず、さらなる観察が必要だ。
実験地内の作業はすぐ終了したので周辺に場所を拡張して抜き取り作業をした。 
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作業まえの実験地内                  ヒロハノアマナが増えた


暖かかった今年の場合は、ハルザキヤマガラシの抜き取り作業は、もっと早期にやれば、小さい草丈のものが対象になって作業も楽だし、周囲の土の掘り返しへの悪影響も少なかっただろうと、反省している。

ハルザキヤマガラシは写真のとおり、土中の長い根の中途からも芽をのばしてくるし、地上花茎の下部からもつぼみをつけて開花・結実する厄介な害草である。 環境にしぶとく適応して繁殖すると言われる。 だから、上部の花の刈り取りだけでは不十分であろう。
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根の中途から発育                   花茎下部での発芽 …見えますか?
 

抜去したハルザキヤマガラシの廃棄方法についてだが、私たちは、テーブル状の大きい岩のうえに抜いた草を積み重ねて置き、それを石や木で抑えて放置して枯れるにまかせている。 持ち帰る必要はなく、それで結果は問題ないようである。 しかし、多数の作業者が出す大量の廃棄草の山の場合は、岩の上では間にあわないので地上の一カ所に集めるしか方法がないが、その場合、ビニールシートなどで上を覆って、シートの周囲を石で抑える方法などはどうであろうか。 なにか改善の余地がありそうだ。
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前回の抜き取り放置草                  木で押さえた草


セメント会社は鉱区拡大にあわせて、車用の新道を西側に延ばしている。 この車道を車で利用させてもらえれば、多くの作業者が自由に時間をかけて駆除にあたれる。 ハルザキヤマガラシ蔓延の元凶が会社の鉱山開発行為にあったことは明白であるだけに、会社は害草防護に進んで協力する姿勢を示してほしい。 それでこそ、自然環境に優しい大企業と公言できるのではないだろうか。

昨年も本ブログで報告したとおり、ハルザキヤマガラシ駆除は、4月の早期と9-10月の秋生え刈り(昨年9月の拙稿「ハルザキヤマガラシ情報ー3」を参照)の年2回が適当だと思われる。
これを人海戦術で数年間続けるのがどうだろうか? 絶滅は不可能だが、蔓延をくい止めることは、どうしても図らねばならない。

Googleマップの藤原岳を見ると、「五月初旬のお花畑」と題して、ハルザキヤマガラシ蔓延の実態写真が黄金の「美景」として3枚も添えてあった。 「鉱山植物」ならぬ「高山植物」のお花畑と嘆賞されて採用されたのか? 「花の百名山」藤原岳がこのようなぶざまな誤解写真で紹介されるようになった事態に、関係者の方々は胸をいためてほしいと切に願う。
早期に防止に向けて、とりくまなければならない。

                                  2016年4月23日 記








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平成27年度いなべ市第4回定例会 議会質疑  (未校了)

○清水実議員  次、2のハルザキヤマガラシについて教育長に問います。
  教育長、平成25年12月定例会の一般質問に対し、ハルザキヤマガラシの群生地の駆除は、専門家も人もおらんのでしないという答弁がありました。これは議事録にも載っております。
 (1)藤原岳第3巻(2014年度号)に記載されているハルザキヤマガラシの駆除作業を多分お読みになったと思うんですが、それを読んでどう思われておるのか。
 (2)事業者と対等に話し合い、解決すべきと考えるがどうか。
 (3)自然保護関係者、これは1巻目を読んでもらうとわかるんですが、いろんな関係者が出てきます。そういう人とも対等に話をして解決すべきと思うんですが、そういうことに対する教育長のお答えをいただきたい。
  以上。
○議長(川瀬利夫君)  教育長、片山富男君。
○教育長(片山富男君)  2、ハルザキヤマガラシについて教育長に問うということで、(1)藤原岳自然科学館館報第37巻(2014年度号)に掲載されているハルザキヤマガラシ駆除作業を読んでどう考えられるのかの御質問にお答えいたします。
  館報の報告にありますとおり、藤原岳山頂付近のハルザキヤマガラシにつきましては、今、生育しているところを完全に駆除することは大変難しい状態にあります。ただ、対策といたしましては、これ以上、生息範囲が広がらないようにすることが大事であると考えます。
  なお、藤原岳は鈴鹿国定公園の中にありますことから、自然公園法、あるいは自然環境保護法、三重県自然環境保護条例等、関係法令に基づきまして、国定公園の管理者である三重県が対策を講ずべきことでございます。
  いなべ市といたしましては、三重県からの要請や働きかけがあれば、市としてしかるべく対応をしてまいりたいと考えております。
  次に、(2)事業者と対等に話し合い、解決すべきと考えるがどうかの御質問でございますが、今、申し上げましたように、国定公園を管理するのは三重県農林水産部みどり共生推進課が自然公園班をつくって担当しておりますので、県の農林水産部と事業者との話し合いはされるべきかもしれませんが、いなべ市といたしましては、そこには関与する立場にもございませんし、そのような権限もないと考えております。
  (3)自然保護関係者とも話し合うべきであると考えるがどうかの御質問をいただきました。
  話し合いと申しますよりも、既に駆除対策で各団体との連携は進めております。具体的に申し上げるならば、本年度4月25日には山岳連盟の方々と自然科学館とで、避難小屋周辺にて共同駆除作業を行っております。また、その翌日、自然保護団体による駆除作業が実施されております。それからもう一つ、5月24日にも山岳連盟で75名の方が出られて、山頂付近の駆除作業をされております。
  三重県のホームページを議員もごらんになられたかと思います。あるいは大貝戸の登山口の休憩所及び山頂の藤原山荘にハルザキヤマガラシの駆除についてのチラシが掲示されておりますが、その中で、実施計画書と報告書の協力を県がお願いしており、その取り組みにつきまして、いなべ市としてもできる限りの連携を図っているところでございます。
  以上でございます。
○議長(川瀬利夫君)  清水 實君。
○11番(清水 實君)  ずっと、今回、一般質問を聞いとる中で、本当にみずから汗を出してしようとしておる部長は1人もおらんように思うんです。教育長、例えばあなたは何本このハルザキヤマガラシを頂上へ行って抜きましたか。何回、見に行ったんですか。誰から聞いても、教育長の姿があったとは報告がないんです。
  それと、こういう面倒くさいことは駆除はせんのやと。人がおらん。せんのやといいながら、汗をかいた人はボランティアばっかりやないですか。そういう人に汗をかかせて、高いところへも行かんと、こんな涼しいところにおるという姿勢の真意がわかりませんが、しんどい駆除はおれはせん、ああいう好き勝手な物好きなやつにやらせとりゃええんやという考えにしかとれませんが、教育長、本当のことを教えてください。
○議長(川瀬利夫君)  教育長、片山富男君。
○教育長(片山富男君)  私、みずから藤原山頂へは足を運んでおります。9合目から山頂にかけて、この前、登ってきたんですが、ロゼット状になっておりました。ハルザキヤマガラシというのは、御承知のとおり、外来生物でございます。しかも駆除すべき対象になっていない植物でございます。これは環境省から指定されたように、まだまだ調査が必要であるし、知見が必要であると。そして、その上で駆除対策を図らなければいけない特定外来生物ではないものであるということで、まだまだ、今後、研究が必要なんだ、調査が必要なんだと環境省から言われておる関係で、県もそのような形で動いておりますが、そうは申し上げましても、山頂では本当に広く繁茂しているということで、私も登って対応させていただいたんですが、9合目から山頂にかけて、山小屋の300メートル手前ぐらいからぼつぼつ出てまいります。しかも秋ですので、ロゼット状で出ております。2株ありました。それから山頂の山小屋周辺ではちょっと写真も撮ってきたんですが、岩場の間にこのように幾つかあります。ロゼット状で繁茂しております。つまり種子で発芽したものではなくて、根こそぎ抜けませんので、茎の基部のところから芽が出てきて、それが広がっておる。そして一番の群生地と言われる事業者の近くは、本当に見事にロゼット状のハルザキヤマガラシがございました。
  このことで、今、各保護団体が本当に動いていただいてますし、先ほど、行政は何もしとらんやないかとおっしゃいましたが、藤原岳自然科学館、それから自然学習室が動いております。自然学習室の担当者も、この前、登ってきて、教育長が言われたこととまさに同じような状態であったということで、今、申し上げたような状態であるということでございます。
○議長(川瀬利夫君)  清水 實君。
○11番(清水 實君)  今、教育長の話を聞いとると、できんということをみんなに説得しとるような話だけです。汗かいて、こうするんやということは一言もないんです。せんでもええような理由は上手に言わっせる。 実際、汗をかいて、一本一本抜いとるのは、ほとんどボランティアの人じゃないですか。 私が腹が立つのは、教育長が泥まみれになって、こうしたい、ああしたいというて、そういう姿を市民に見せる、それがやっぱり物を教える教育長の立場やと思うんやけど、全然違う。 いろんな小理屈を言うだけで、みずから汗をかいて仕事をしようとせん。そういうのでは非常に情けない。
  私は、企業へも行った。企業のポスターを見ると、企業活動で自然保護にも先進的に努力をしますという大きなうそのポスターが張ってある。
  これは、この間も企業に行って、私らが物を言えるのはどこですか。これは株主総会しかないわなと。どれだけの株を取得すると、株主総会に出れるのか。それはこれから一般の人に協力を求めて、こういうふうなあれで、株主総会で物を言いたいんやが、寄附を募って株主総会に出ていって、国定公園を了解したのは太平洋セメントです。国定公園でありながら、貴重な植物がだんだんなくなっていく。きょうの市長の話でも、これからは観光に力を入れるという話をされました。観光に力を入れる、ましてや花の百名山と言われた藤原岳にハルザキヤマガラシがうんざりするほどあっては、何が花の百名山ですか。そういうことも含めて、今後は企業と対々に話をし、なおかつ、1人でも多く参加してもらえるような組織をつくって、ハルザキヤマガラシがなくなるまで、5年かかろうが、10年かかろうが抜き取ってしまう、そういうことに力をかそうとせん教育長の姿勢は非常に情けない。
  今まで現地で取り組んでやった人、正規の職員は1人もおらせんやないかね。
  そういうことを今後も反省もせず続けられるのかどうか、その点、する、せんの二つのうち、どっちかの返事を教育長にしていただきたい。
○議長(川瀬利夫君)  教育長、片山富男君。
○教育長(片山富男君)  議員の御質問に直接お答えできるか、ちょっと外れるかもしれませんが、誤解していただくと困ります。
  今、ハルザキヤマガラシが山頂に繁茂しているところと、9合目から山頂にかけ2株、それから山荘の周辺に何株かということを申し上げました。これ、全て裸地化したところです。展望台へ行くササのところには1株もありません。つまり、今、鹿の食害によって植物が食い荒されて、裸の状態になったところにハルザキヤマガラシが繁茂しています。ササであったり、植物があるところには広がっておりません。今、議員がおっしゃったように、このままいったら花の百名山はだめになってしまうという言い方は違います。そこをきちんと理解していただいて、今、県が進めようとしているのは、調査をした上で、知見も得ながら、どのような形で駆除ができるのかを、きちっとした上で取り組もうということなんです。
  今、保護団体の方々がいろいろ努力いただいていますが、その方々が抜き取られた後の根が残っておるところから出てくるんです。それが駆除対策として一番適した形ではないという問題が出てきておるので、これからどのようにしたら完全に駆除できるのかを、みんなして頑張ってやっていこうと。自然学習室もそのことを県と連携しながらやっておるわけです。
  以上です。
○議長(川瀬利夫君)  清水 實君に申し上げます。発言時間は4分。
  清水 實君。
○11番(清水 實君)  今、教育長にえらい力説を聞かせていただきました。だったら、教育長も時間があるんだから、それぐらいの勢いで山へ駆除に行ってもうたらよろしいやんか。ほかの者ばっかりにさせやんと。
  これは三重県だけの問題じゃないんです。そういう状況にしたのは、国も悪いし、県も悪いし、一番悪いのは市です。そういうことに真剣になって取り組む姿勢が一番大事です。
  今の教育長の力説しとる話を聞いとると、すぐ足を運んで駆除をする時代はまだこれからなんやと、研究なんやと。
  きのうも県へ電話したんです。あんたら、何回、行っとるんやといったら、答えられません。県の職員も二、三人が来とるだけ。いなべでも正規の職員はほとんど行ってません。館長にしても、彼も正規の職員じゃあらへんわな。そういう人ばっかりを頼って、あとはいろんな資料を読んだことをここで大きな声で力説しとるだけやないかね。教育長、あんた自身がもっと小まめに行ったらどうやね。そういう姿勢が全然見られません。
  もう時間も2分しかないので、これ以上、大声で猛ってみても何の意味もありませんので、私は、今後、自分自身でどう行動を起こすかということも考えて、一番昔からよう知っとる教育長の知恵も借りながら、何かの結果を二、三年後には出したいと思いますので、教育長、そんに山へ行ってもらわんでも、知恵をかしておくんなはれ。金は貸して要りませんから、知恵を。
  これで終わります。
○議長(川瀬利夫君)  清水 實君の一般質問を終了します。


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写真左:荒廃した山頂部             写真右:ハルザキヤマガラシが蔓延する山頂部

私のコメント(藤原昧々 記)

教育長の片言節句をとらえてコメントするのは避けたい。 答弁中、下記のような発言を読むと、私には、教育長の考えには2つの誤解があるように思える。

 「今、ハルザキヤマガラシが山頂に繁茂しているところと、9合目から山頂にかけ2株、それから山荘の周辺に何株かということを申し上げました。これ、全て裸地化したところです。展望台へ行くササのところには1株もありません。つまり、今、鹿の食害によって植物が食い荒されて、裸の状態になったところにハルザキヤマガラシが繁茂しています。ササであったり、植物があるところには広がっておりません。今、議員がおっしゃったように、このままいったら花の百名山はだめになってしまうという言い方は違います。そこをきちんと理解していただいて、今、県が進めようとしているのは、調査をした上で、知見も得ながら、どのような形で駆除ができるのかを、きちっとした上で取り組もうということなんです。」(教育長答弁)

ハルザキヤマガラシが山頂部に広範に繁茂したのは、答弁にあるように、シカの食害で裸地化した場所であるが、その現象はここ十数年間ほどのことであり、元凶はといえば、教育長はいっさい言及していないが、セメント会社の事業による土地掘削が原因である。 無数の運搬車両のタイヤについた下界の種子がまず鉱区周辺にものすごい繁殖地を形成してしまった。 洗い場を設置して有効な農薬の水槽で車両のタイヤを毎回洗浄しておれば防げたかもしれないが、ハルザキヤマガラシに有効な薬品が発表されだしたのは最近のことであり、防ぎようはなかった。 作業員の塵肺障害もそうだったろうが、〈開発〉の恐ろしさは、人類未知の現象を社会にもたらすことでもある。
シカの食害による裸地化があきらかに国定公園の荒廃をまねいているしハルザキヤマガラシの蔓延の原因にもなっている。 シカ対策は急務なのだ。 そして社会的責任を負う事業者の協力もぜったい必要だ。現在まではいっさい協力はない。アセスであれほど自然環境への配慮を約束した大企業としてその姿勢はどんなものか?

もう一点指摘したいのは、研究だ、調査だといっても、これはあくまで抜き取り作業を現地でやってみて、そのプロセスや結果をあれこれ検討した上での調査・研究であり、手を拱いて懐手をしながら眺めて済むことではない。 研究は膨大な作業でもあり、組織的な動員が必要になる。早急に県は協力団体を組織しなければならない。

以上、答弁中気になった2点を書いたが、もうひとつ言いたいことは、藤原岳はもう「花の百名山」ではないことだ。 周辺部にはまだ貴重な生態系が残されておりその保護は急務ではあるが、本体の藤原岳の8合目以上は荒廃しつくして貴重な在来種は激減か絶滅してしまった。 昔のあのお花畑の山頂は消えており、訪れる人には恥ずかしい。市の職員も現地でそう感じるだろう。 地元の自然は地元ががんばって守らなければどうしようもない。 県や国に責任転嫁したり指図待ちをしているような消極的な姿勢ではどうにもならない。

さて、いなべ市教育長は、以下のような答弁をなされており、それぞれ注目される。

「国定公園の管理者である三重県が対策を講ずべきことでございます。 いなべ市といたしましては、三重県からの要請や働きかけがあれば、市としてしかるべく対応をしてまいりたいと考えております。」

「国定公園を管理するのは三重県農林水産部みどり共生推進課が自然公園班をつくって担当し  
ておりますので、県の農林水産部と事業者との話し合いはされるべきかもしれませんが、いなべ
市といたしましては、そこには関与する立場にもございませんし、そのような権限もないと考え
ております。」

「ハルザキヤマガラシというのは、御承知のとおり、外来生物でございます。しかも駆除すべき対象になっていない植物でございます。これは環境省から指定されたように、まだまだ調査が必要であるし、知見が必要であると。 (中略) まだまだ、今後、研究が必要なんだ、調査が必要なんだと環境省から言われておる関係で、県もそのような形で動いております。」

「自然学習室の担当者も、この前、登ってきて、教育長が言われたこととまさに同じような状態
であったということで、今、申し上げたような状態であるということでございます。」

「今、保護団体の方々がいろいろ努力いただいていますが、その方々が抜き取られた後の根が残
っておるところから出てくるんです。それが駆除対策として一番適した形ではないという問題が
出てきておるので、これからどのようにしたら完全に駆除できるのかを、みんなして頑張ってや
っていこうと。自然学習室もそのことを県と連携しながらやっておるわけです。」








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