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資料 県聴取会・会員意見書 (2011.11.19)

意見書-1 (会員 I)

○アセス準備書、委員会での質疑応答内容等ついての県広報活動はHP以外にどのような方法をとっていますか。
藤原岳は早春植物で全国的にも知られた山です。 開発が拡大計画されていることを一般の人達にもっと広く知らせられる手段を講じてほしい。

○開発の長期計画を県は把握していますか。
山頂工区開発期間は50年としていますが、中止されている治田工区(孫太尾根)、その後は工区から500mの位置にある山頂や展望丘あたりを開発し、将来的には御池岳方面へと迫っていくことになるのではないでしょうか。

○事業者は工区内の県内希少植物の保全ついて、50年の開発期間の中で工区の進行に合わせて組織培養法や移植を含む手法で対策するとしている。 xxxミツバ、アサダについては挿し木を、イワツクバネウツギ、ハシドイ、ハイイヌガヤ、チャボガヤ、イヌブナ、オヒョウ、メグスリノキ、チョウセンナニワズについては挿し木・取り木・播種を、その他(ヒメニラ、イワザクラ等)については移植となっています。 どの手法をとっても最終的には工区内へ植えることになろうかと思います。 さて、植える場所について、工期50年間のなかで採石の進行に合わせて順次植え付けや移植を進めるようですが、そのようなことで植物の定着が可能でしょうか。 一般に森林の開発地を現状復帰するには最低100年かかるといわれます。 ましてや現地は石灰岩地で塩基性の痩せた土地であり、土壌も極めて薄いことから回復にはより長期間を必要と予想されます。 回復が長期を要することは足尾銅山、武甲山がよい例です。 採石地域の落葉広葉樹林は現地の環境に適応しながら長い時間の中で成立したものです。 また、林床の県内希少種も微気候を含むこの生態系に適応して生育しています。 植物だけではなくxxxxマイマイも微妙な環境の下で生息していることについては同様です。 砕石にはトンネル工法を用いて騒音・粉塵への対処をするようですが、工区が裸地化されることに変わりはありません。 工事の進捗に並行してその都度、移植・緑化を試みるようですが、これではもとの生態系を取り戻せないばかりか、植生の回復すら困難です。 現在進行中の採石工区の緑化状況や多志田谷の惨状をみても不可能なことは明らかであると言わざるを得ません。 
可能であることを証明し実現してから新工区の開発に着手していただきたい。 近年自然の持続可能な開発が重視されていますが、大規模採石行為にはもちろん実行不可能です。

○この開発行為は生態系・種・遺伝子多様性の保全のどれにも大きな影響があります。
種の多様性の保全のために移植や組織培養が準備されていますが、希少種の生育維持には現在生育している生態系を再現することが最低限必要です。 50年ではとても希少種生育環境の確保は不可能です。
また、組織培養法を用いて希少種の増殖を計画してますが、種内の遺伝子多様性の保全に反していますし、結果として同一形質をもった環境の変化に対して脆弱な個体群になってしまいます。 マメナシ(イヌナシ)の地域個体群の絶滅危険度が予測されていることも同様です。 ただし、地域内の全個体を抽出して培養をするなら別ですが。 培養し植え付けるにしても代替地を準備し実際に現地で試し成功することが工区開発の前提条件です。

○イヌワシの狩場(餌場)として林間にギャップを設け草原化するようであるが、その維持管理は保障できるのでしょうか。
草原化に伴いシカが食べないマツカゼソウやイワヒメワラビ、コバノイシカグマが侵入し、残され、繁茂した単純なバッチ状草原が成立するだけでノウサギの採餌場にはならないように想像するがいかがでしょうか。 成功の実証例はありますか。

○xxxxマイマイはこの地域だけに生息し、三重県自然環境保全条例第4条第2節(第18条~第21条)、「三重県指定希少野生動植物種の指定」の対象種です。 これを対象から外すには、種の生息に支障のない限りにおいてとなっていますが県としてはどのように解釈していますか。

○住人意見に対する事業者の回答に「事業者所有地から離れた所の対策は困難と考えられる」とあるが、採石進行に伴い地形・地質・植生の改変が将来的に地域に影響を及ぼすことは確実であろう。 気候の変化や水利面、土砂流出などに万全の対策をとっておくことが必要です。

○石灰岩の加工に伴いCO2が発生します。 CaCO3として固定されていたものが大気に放出されます。 二酸化炭素の低減は京都議定書にもあるように国策とされ多方面で取り組まれています。 この状況を踏まえ、努めて緑化を意識し実行してもらいたい。

○以上、この準備書は疑問点・不明点が多いこと、生物の分類群によっては調査種に漏れが多いこと、生態系維持の観点にたった分析の弱さなどが見られます。
生物の再調査をはじめ再度の環境アセスメントを要望します。
  



意見書-2  (会員 S)

1.動植物の稀少種や貴重種の保護及びササ枯れ再生のために、シカの駆除を生態的保存頭数まで減少させる必要がある。 そのため、早急に地元猟友会と交渉を進めていただきたい。

2.多志田谷のほとんど伏流水地域である河川を、昭和30年代の表流水が流れるように抜本回復してほしい。

3.イヌワシの保護にあたっては、即座に開発のすべてを中止することであります。
イヌワシは県民の宝であり、市民の宝でもあります。 このイヌワシを我々の生活地点から観察できるように工夫し、イヌワシへの恩返しを考えるべきではないだろうか。

4.特別天然記念物のカモシカがアセスの調査期間中に、4個体死亡しました。
県、市、アセス会社の連携のなさが浮彫りになりましたが、保護について真剣に考えているとは思われません。

5.特別天然記念物のオオサンショウウオはまったく無視されたままですが、この有様は、市も県も環境影響評価委員会のメンバー方々も、現場で汗をかくことを忘れておられるような気がしてなりません。

6.徹底した情報公開と地域住民の参加が大切で、環境影響への科学的分析と同時に公正な判断には住民の意思が反映されなければならない。  住民からの問題提起は、結果的には問題解決につながることを認識すべきだ。




意見書ー3  (会員 Y)

〈土砂災害について〉
〇 大貝戸集落堰堤工事の場所より工事予定区へ登ると、谷中腹部の自然崩落が激しい。 発破をかけて石灰石を採るというこてであるが、改変による崩壊が起こらず下流の集落が絶対に安全であるという保証はあるのか?

〇 孫太尾根、及び藤原岳山頂鉱区からのズリのたれ流しにより、多志田谷は崩壊して登山道も廃道となり立入り禁止になっているが、その様な状態をこれからも放置するままで何の指導も県としてはしないのか?  8月に入山して植物調査をしていたところ、10分ほどのにわか雨で、両側のズリを流し出した箇所より濁流が流れ始め、もし大雨なら対処できないような状態であったが、それで下流集落の安全が保障できるのか?

〈生物の環境における評価〉
〇 山頂鉱区においては、三重県初記録の植物が10種近く記録された。 xxxミツバにおいては、山頂鉱区で新たに広範囲にわたり生育していることが確認された。 全国ランクで2番目に(絶滅危惧Ⅱ類・VU)絶滅が危惧される種であり、九州ではすでに認められなくなり、岡山県の発見地にも存在しないと言われる(他には1カ所存在する)。  これらの保護についてどう対処するのか?

〇 アセスの結果、種子植物においても、三重のRDBにあがっている、クロヒナスゲ、チョウジザクラなどの重要植物が記載されていない。 再調査の必要性がある。


〇 xxxxマイマイについては全国でも藤原岳東面にしか分布していない超貴重種であり、三重県指定の特定稀少20種に含まれており採取はもちろんのこと、接触も禁じられている種である。 その個体数の集中する所が鉱区の中心となっている。 下部にも存在するが、個体数プロットを見ると少ない。  このような状態なのに工事を許可するのか?

〇 xxxミツバは全国のみならず藤原岳でも長年月かけて特異な環境の場所にしか適応できなかったものである。 移植して更に増殖能力があるとしたら、もっと分布を拡大しているはずである(xxxxマイマイも同じ)。 これらの移植について、太平洋セメントの見解は?

〇 イヌワシの保護とエサ場の創出を太平洋セメントは言っているが、新しいエサ場にノウサギが期待通りやって来るとはとても推測できないが、それよりもさらに自然林の伐採により、植物の生態系を攪乱することで、さらに貴重な植物の減少や絶滅の方が心配される。  さらに重要なのはシカの食害である。

〇 宮崎県では、貴重植物などの減少の第1要因は「シカの食害」となっている。 藤原岳でもシカの食害がはげしく、ディアーライン〈シカの背の高さ〉までは下草も樹木の葉も全くなくなっている状態である。 なのにノウサギ出現を期待する柵もしないエサ場を作っても何の意味もないことがわかる。 残るのは動物の喰わないイワヒメワラビやマツカゼソウなどの群落である。 そのような所にノウサギが出現するはずがない。 単に生態系の破壊を進めるに過ぎない。 現状を全く理解していない構想である。

〈組織培養について〉
〇 貴重植物は組織培養によって増やすと言っている。 ところが最近では、他地域から持ってきて移植された個体については、その地域にもともと存在していたものではなく生態系を乱すという理由で移植個体を排除しているという発表が分類学会であった。  

〇 増殖させた個体は同一遺伝子をもつクローンであり、もしこれが増殖した場合、他の同種個体を減少させ、生物の多様性は失われることになる。 これでは存在させる意味がない。  これについてどう考えているのか?
組織培養した個体が増えて、後で排除に乗りだした所があるがそれはご存知か?

〈その他、総合的に〉
〇 生物種というものは、ある一定以上の個体数を維持できなくなると絶滅に向かうものである。 一定の狭い面積内での近親交配が進むと種の生存能力は極端に落ちて絶滅に向かう。  xxxxマイマイ、及びxxxミツバなどの最小個体維持数はいくらなのか?

〇 特定種を、隔離して存続させたり、移植によってもともとその種が存在しない別の生態系へ組みこむといった方法では真の解決にならない。  最も重要なのは、それら生物の生存している特殊な生態系を守り、存続させることである。  太平洋セメントのやろうとしていることは全く意味のないことであり、生態系というものを毫も理解していない者のやる事である。




意見書-4  (会員 M)

対象事業 : 藤原鉱山及びその周辺次期原料山開発事業
三重県環境森林部水質改善室 殿

* 準備書は説得力に欠けすぎた。
開発には環境上の問題の発生はつきものであり、やむを得ないと言えましょう。
そこで事業者はアセスメントによって、その解決案を社会に示すわけで、準備書の内容は調査にもとづく代替案、補償措置案が中心になります。
今回の藤原山頂鉱区では、イヌワシと、xxxxマイマイおよびxxxミツバが問題のシンボルになりました。  事業者は代替案として準備書で、林間ギャップの創設と移植を提案しました。
しかし、評価委員会でも、住民意見でも、この案は完全に矛盾だらけで実現不可能であり、苦しまぎれの思いつきでしかないことが明らかになりました。
県は認可にあたって、この代替案がほんとうに有効であるのか否かを、評価委員会その他の論議に耳を傾けて、慎重に判断するべきであり、よもや、開発と平行で実験をするなどという事業者の意向を認めてはなりません。

* 重要な調査がなされていません。
採掘による新たな地下水の流出、滲出への懸念は、有害物質による健康問題として絶対に無視できない重要問題なのに、会社側は、いろいろな理屈をつけて調査を避けています。 調査の徹底は不可欠です。 指導をお願いします。
同じく、鍾乳洞は生物・地質研究と国民の観光自然資源として非常に重視されます。
会社は他の鉱山でも鍾乳洞発見の例はなかったとし、今回のアセスでも鍾乳洞調査は困難としています。 このカルスト山地を長年歩いてきた私の経験では、風穴、鍾乳洞は必ず存在すると予想します。 事前の調査はこれまた絶対に必要です。
  
* 菌類調査が不十分・不徹底である。
準備書からうかがえる菌類調査結果は内容、評価いずれも不十分、不適切と思われます。
今回のアセス会社の調査では、膨大な数のキノコが、おそらく属の段階まで推定できても種の特定にまでは至ることができなかったはずです。 また、地下生菌、冬虫夏草など多数の見落としもあったはずです。  準備書には9目27科47種を確認とあり、植物担当の評価委員からも種数が少なすぎるという指摘を受けています。  準備書では今回、不明種を不明種としてむしろ丁寧に記録するべきでありました。  それによって、調査地点の豊富な菌類環境の特徴が窺いしれるからです。 不明種の多い場所ほど、菌類生息上、興味ふかい土地でもあります。 
また、同定には、きわめて詳しい専門家たちによる調査が必要です。 
筆者らは、同じ石灰岩質の隣の御池岳で珍しいキノコ2種を見つけ、専門研究者によって新産種タネミケシボウズタケ(Tulostoma fulvellum)、および世界的にも稀で日本では初出のスゴモリダンゴタケ(Bovista ochrotricha)と命名され学会誌に発表されたが、いずれもまだ国内の他の箇所からの発見はないという超希少種であります。 地質からみて、今回の予定鉱区にも十分その生息の可能性はうかがえる。  
藤原地区では、その他、ルリハツタケ(Lactarius indigo)、ウロコケシボウズタケ(Tulostoma squamosum)などの貴重種も記録されている。
そもそも準備書に、どこにでもあるタマゴタケごときが、xxxxマイマイやxxxミツバと同列の写真扱いで掲載されているのは、異様であり噴飯ものである。 会社側は、重要種だとはどこにも書いていないと回答していたが、他に碌なものが出なかったことの例証であり、今回の菌類調査の内容の貧しさが推測され、非常に遺憾である。
知られるとおり、蘚苔類、地衣類、菌類は地味ながらも、自然環境の最高の指標生物である。
シカ食害の影響を防止した環境を作った上での、高度な再調査を要望します。

* 今回のアセス準備書には地元研究者の知見が反映されていない。
藤原岳は全国的にも珍しい動植物の宝庫だという事実は事業者もよく認識されているようですが、今回のアセスメント準備書を見るかぎり、その内容には地元の専門家たちの知見や意見がほとんど反映されていないのはどうしたことでしょうか。 例えば、藤原岳自然科学館や、藤原岳自然探査会、みえ菌輪の会などは、多年にわたり藤原岳の生物の生態を調査、研究してきましたが、彼らの貴重な知見はどの部分に反映されていますか? 
地元の専門家は多士済々です。 。

* シカ食害と調査の問題
何度もふれますが、いま、藤原岳もシカによる食害で生態系は惨たる様相を示しています。
今回のアセスは異常な藤原岳の偏った姿しか反映していないという事実を、どれほど関係者らが認識されておられるか大変心配です。 平生でない姿の生態系なのです。 それでも今回の調査では沢山の貴重種がでてきました。 あらためて驚くと同時に、調査の公平さに敬意を表します。
ある面積を数年間、柵で囲い、シカの影響のない環境のもとで生物調査をおこなうべきである。

* 移植の不合理性
当該稀少種の生物が存続さえできたらそれで問題解決かといえば、それは逆転した考えです。  
なぜならば、もともとあった、豊かで比類のない恵まれた自然があってこそ、これらの貴重種が多数生息してこられたのですから、一番大事なのは基礎になる周辺の土、水、空気と生態系全体です。  それらの自然を回復不可能なまでに破壊し尽くしておいて、稀少種のみを移植で保存できても自然環境上、なんの意味もありません。
また、移植や培養種による生態系の攪乱については、いろいろ逆に弊害が指摘されているようですが、その点について会社側は何らの認識ももっていないことは由々しい問題である。 
準備書の最大の弱点は、貴重種の保全にだけ目がゆき、生態系の保全という根本が抜け落ちていることです。

以下、続く




* 超貴重種の扱い
県自然環境室副室長さんが前評価委員会冒頭で指摘されましたとおり、xxxxマイマイは、三重県保護観察指針に該当する貴重種で、生体の採取は厳重に禁止されています。 ただし例外として、研究や繁殖・保護の目的でなら特別に許可される、ということです。  つまり、逆に言えば、その生物が繁殖上生息可能な別の場所と方法が見つかればいいが、見つからなければ業者側はその採取ができず地表の改変ができないことになりますが、そのとおりと理解してよいのでしょうか?  陸貝の専門家は移植は絶対不可能だと断言しています。 そのとおりでしょう。
県には、xxxミツバやxxxxマイマイなど、指針該当生物の保全を図るべく、指導・監督の徹底を要望します。

* 緑化と復元
会社は「緑化と復元」をうたっていますが、私がまず要望することは、すでに裸地化し荒廃しきった多志田渓谷斜面と藤原岳東面の可能な部分をできるかぎり緑化、復元することです。 その工事への投資と実行、結果検証を経ぬままで、「適切な緑化で修復します」という言葉だけの会社側回答にはとても納得しきれません。 
山の悲惨な荒廃の姿を見るにつけ、過去80年間、会社側がどう緑化に取り組んできたのか、県としては環境上どのような指導をされてこられたかをお聞きしたい。
経済激変の時代に会社が50年もつのか? 仮に会社が存続できても50年も経てば、企業の内容も陣容も理念もまったく変わっています。 企業の収益に反するだけの緑化事業をどこまで真剣にやってくれるのか。 掘れるだけ掘ってあとは経営悪化の理由などで放置されるだけではないでしょうか。  会社は緑化に要する予算を計上し、資金をいなべ市に預託するべきである。 
近くの藤原町篠立の白石鉱山跡を現地でご覧ください。 何十年も放置されたままの工場施設には、錆びた有刺鉄線とツタが這いまわり、荒れるがまま見捨てられ、昨年もPCB流出による土壌汚染で大問題になりました。  緑化どころか、放置と環境汚染がすべてでした。

* 土石流災害の危険
山頂鉱区の場所は、今ハゲ山の東斜面の奥側と右側が対象になると言えましょう。 
右奥に禿げ山が広い範囲にのび、上部の尾根が削られ近接の谷が埋まるというイメージで大貝戸集落側から見上げると恐ろしい光景です。  山頂の木を切り尾根を削り、石や土を谷に投げすてることにより、山の保水力が失われ、集中豪雨や地震災害で土石流が一気に下部の集落に押し寄せる危険が予想されます。 また、会社の言う治水用の遊水池じたいが決壊し大洪水の原因にもなりかねません。 近年、御在所山スカイライン、青川峡、藤原・御池岳などの豪雨による谷筋の被害と地形変貌は年々凄まじいものです。 歩いているとよくわかります。
 土石流はほんとうに防げるのだろうか?
いま地球規模で、あるいは日本列島自体が災害多発の時代周期に入ったとする専門家の指摘や、ここ最近の、大型台風や山地集中豪雨の頻発をみると、「想定外でした」と必ず会社が弁解するような大災害が起きてしまう可能性は非常に高いと確信します。 藤原岳山麓ではいま谷に堰堤をさかんに作っていますがすぐに土砂で埋まっている感じです。 国道306号から現場を見上げてください。 谷の中腹はすでに自然崩壊しております。 まともには見上げられない光景です。 

* 環境影響評価委員の選任の方法
平成23年度から、評価委員の約2/3が大巾に入れ替わり、環境影響を学術的にするどく検討されてきた委員の多くが去られました。 評価委員会の過去の審議内容を閲覧したり、今年度の審議会を傍聴したかぎりでの私の感想では、委員の質に大きな変化が認められます。 
現場の実情を知らない委員やアセスの初心者などがおられ、総体に委員の追求力や発言力が弱化しています。 委員の選任は誰が行い、どのような基準でなされるのでしょうか?  
このままでは、評価委員会は、既定の結論に至る、単なる形式的日程消化の役割機関に終わる懸念がつよくなっております。 
評価委員会の専門性と公正性の重要さを思うと、今回の選任方法や選任過程には大きな疑問をいだきます。

* 県、森林部への要望
水、土、空気、森林、緑などは、国民あるいは人間が健康に生存してゆく最優占の基本的条件であります。  行政における環境部門は住民および国民に対して最も重大な責務を担う部署として、時には時代の政治経済や企業活動をも制限・排除しなければならないほど重要であり、私たち国民の寄せる期待は絶大です。 県森林部様におかれては、環境保全の専門部署として、あくまで企業活動や経済とは独立した別個の視点と立場でもって環境評価に努めてください。

最後に主なる点を再度申しあげ、その検討と着手を要望します。
① シカ対策後に植生と菌類の再調査をする。 その際に地元の専門家の知見を活用する事。
② 移植が可能というならば、事前実験と検証が必要。工事着手はその後で。
③ すでに裸地化した土地の緑化と復元が先である。 今後の緑化事業資金を市に預託する。
④ 会社側の言う対策では、山頂鉱区開発による土石流災害は防げない。許可は無責任。 
⑤ 準備書の要である代替案は実行不可能であり、また、事業と平行して進めるなどはあってはならない。
環境保全にかかわる以上の点をクリアするまでは絶対に、今回の鉱区拡張計画を進めないように要望します。