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桑名市五反田・丘陵地の植生

 桑名市五反田・丘陵地の植生(三重県RDB掲載の絶滅危惧種とその候補種)
                       前桑名市自然保護推進委員 M.I
                                  

 ここは桑名市大山田の西方、県道142号線から北へ100mほど入った、中部電力西変電所の南側に位置する標高約60m、約0,5haの丘陵地です。 地中浅くに不透水層(粘土層)があるためか、いつもは半乾燥状態で、低湿地性とまではいかないまでも、湿った様相を呈しています。 土壌は浅く貧弱で、常に貧栄養状態が保たれています。 このような環境下では植物遷移は進まず、それ相応のクライマックスを維持していきます。 やせた土地を好み、種間競争に負けそうな種には最適な環境といえるでしょう。 伊賀地域にも似た所が多く見られます。

かつてこの土地周辺部には同じような環境がいくつも見られたのではないかと想像しますが、土地造成・宅地開発等が進んだ現状では不明であり、この土地の植生と比較のしようもありません。 五反田のこの土地・環境・植物相は、唯一この地域に残された丘陵地帯を代表する貴重な宝物であり、保護し、維持管理をしていくに値すると考えています。 幸い?上空には高圧電線が走っていることでもあり、開発されないことを願うばかりです。

それでは以下に主な貴重種をあげます。
フモトミズナラ(三重県RDB記載候補種、成木2本・幼木数十本)、ウンヌケ(同絶滅危惧種IA類)、イシモチソウ(同絶滅危惧種Ⅱ類)、ハルリンドウ(同準絶滅危惧種)、他にイガクサやサルマメ、近くにはオミナエシやイソノキ、ズミも生育しています。 また、この地のヤマツツジは、東海丘陵地域に共通していることですが、花色の変化に富んでいます(ムラサキヤマツツジを含む)。 ちなみに、上記の中でフモトミズナラとウンヌケは東海丘陵要素植物にあげられている植物です。
なお、フモトミズナラ、ウンヌケがこの地に生育することを、それぞれ東員町の大谷勝治氏、名古屋市の吉田國二氏に紹介していただきました。
                  (三重自然誌の会会報「自然誌だより」に掲載)

by mamorefujiwaraMT | 2013-07-12 18:53 | 会員 各種論稿