カテゴリ:会員アセス提出意見書( 2 )

意見書-1 (会員 I)

○アセス準備書、委員会での質疑応答内容等ついての県広報活動はHP以外にどのような方法をとっていますか。
藤原岳は早春植物で全国的にも知られた山です。 開発が拡大計画されていることを一般の人達にもっと広く知らせられる手段を講じてほしい。

○開発の長期計画を県は把握していますか。
山頂工区開発期間は50年としていますが、中止されている治田工区(孫太尾根)、その後は工区から500mの位置にある山頂や展望丘あたりを開発し、将来的には御池岳方面へと迫っていくことになるのではないでしょうか。

○事業者は工区内の県内希少植物の保全ついて、50年の開発期間の中で工区の進行に合わせて組織培養法や移植を含む手法で対策するとしている。 xxxミツバ、アサダについては挿し木を、イワツクバネウツギ、ハシドイ、ハイイヌガヤ、チャボガヤ、イヌブナ、オヒョウ、メグスリノキ、チョウセンナニワズについては挿し木・取り木・播種を、その他(ヒメニラ、イワザクラ等)については移植となっています。 どの手法をとっても最終的には工区内へ植えることになろうかと思います。 さて、植える場所について、工期50年間のなかで採石の進行に合わせて順次植え付けや移植を進めるようですが、そのようなことで植物の定着が可能でしょうか。 一般に森林の開発地を現状復帰するには最低100年かかるといわれます。 ましてや現地は石灰岩地で塩基性の痩せた土地であり、土壌も極めて薄いことから回復にはより長期間を必要と予想されます。 回復が長期を要することは足尾銅山、武甲山がよい例です。 採石地域の落葉広葉樹林は現地の環境に適応しながら長い時間の中で成立したものです。 また、林床の県内希少種も微気候を含むこの生態系に適応して生育しています。 植物だけではなくxxxxマイマイも微妙な環境の下で生息していることについては同様です。 砕石にはトンネル工法を用いて騒音・粉塵への対処をするようですが、工区が裸地化されることに変わりはありません。 工事の進捗に並行してその都度、移植・緑化を試みるようですが、これではもとの生態系を取り戻せないばかりか、植生の回復すら困難です。 現在進行中の採石工区の緑化状況や多志田谷の惨状をみても不可能なことは明らかであると言わざるを得ません。 
可能であることを証明し実現してから新工区の開発に着手していただきたい。 近年自然の持続可能な開発が重視されていますが、大規模採石行為にはもちろん実行不可能です。

○この開発行為は生態系・種・遺伝子多様性の保全のどれにも大きな影響があります。
種の多様性の保全のために移植や組織培養が準備されていますが、希少種の生育維持には現在生育している生態系を再現することが最低限必要です。 50年ではとても希少種生育環境の確保は不可能です。
また、組織培養法を用いて希少種の増殖を計画してますが、種内の遺伝子多様性の保全に反していますし、結果として同一形質をもった環境の変化に対して脆弱な個体群になってしまいます。 マメナシ(イヌナシ)の地域個体群の絶滅危険度が予測されていることも同様です。 ただし、地域内の全個体を抽出して培養をするなら別ですが。 培養し植え付けるにしても代替地を準備し実際に現地で試し成功することが工区開発の前提条件です。

○イヌワシの狩場(餌場)として林間にギャップを設け草原化するようであるが、その維持管理は保障できるのでしょうか。
草原化に伴いシカが食べないマツカゼソウやイワヒメワラビ、コバノイシカグマが侵入し、残され、繁茂した単純なバッチ状草原が成立するだけでノウサギの採餌場にはならないように想像するがいかがでしょうか。 成功の実証例はありますか。

○xxxxマイマイはこの地域だけに生息し、三重県自然環境保全条例第4条第2節(第18条~第21条)、「三重県指定希少野生動植物種の指定」の対象種です。 これを対象から外すには、種の生息に支障のない限りにおいてとなっていますが県としてはどのように解釈していますか。

○住人意見に対する事業者の回答に「事業者所有地から離れた所の対策は困難と考えられる」とあるが、採石進行に伴い地形・地質・植生の改変が将来的に地域に影響を及ぼすことは確実であろう。 気候の変化や水利面、土砂流出などに万全の対策をとっておくことが必要です。

○石灰岩の加工に伴いCO2が発生します。 CaCO3として固定されていたものが大気に放出されます。 二酸化炭素の低減は京都議定書にもあるように国策とされ多方面で取り組まれています。 この状況を踏まえ、努めて緑化を意識し実行してもらいたい。

○以上、この準備書は疑問点・不明点が多いこと、生物の分類群によっては調査種に漏れが多いこと、生態系維持の観点にたった分析の弱さなどが見られます。
生物の再調査をはじめ再度の環境アセスメントを要望します。
  



意見書-2  (会員 S)

1.動植物の稀少種や貴重種の保護及びササ枯れ再生のために、シカの駆除を生態的保存頭数まで減少させる必要がある。 そのため、早急に地元猟友会と交渉を進めていただきたい。

2.多志田谷のほとんど伏流水地域である河川を、昭和30年代の表流水が流れるように抜本回復してほしい。

3.イヌワシの保護にあたっては、即座に開発のすべてを中止することであります。
イヌワシは県民の宝であり、市民の宝でもあります。 このイヌワシを我々の生活地点から観察できるように工夫し、イヌワシへの恩返しを考えるべきではないだろうか。

4.特別天然記念物のカモシカがアセスの調査期間中に、4個体死亡しました。
県、市、アセス会社の連携のなさが浮彫りになりましたが、保護について真剣に考えているとは思われません。

5.特別天然記念物のオオサンショウウオはまったく無視されたままですが、この有様は、市も県も環境影響評価委員会のメンバー方々も、現場で汗をかくことを忘れておられるような気がしてなりません。

6.徹底した情報公開と地域住民の参加が大切で、環境影響への科学的分析と同時に公正な判断には住民の意思が反映されなければならない。  住民からの問題提起は、結果的には問題解決につながることを認識すべきだ。




意見書ー3  (会員 Y)

〈土砂災害について〉
〇 大貝戸集落堰堤工事の場所より工事予定区へ登ると、谷中腹部の自然崩落が激しい。 発破をかけて石灰石を採るというこてであるが、改変による崩壊が起こらず下流の集落が絶対に安全であるという保証はあるのか?

〇 孫太尾根、及び藤原岳山頂鉱区からのズリのたれ流しにより、多志田谷は崩壊して登山道も廃道となり立入り禁止になっているが、その様な状態をこれからも放置するままで何の指導も県としてはしないのか?  8月に入山して植物調査をしていたところ、10分ほどのにわか雨で、両側のズリを流し出した箇所より濁流が流れ始め、もし大雨なら対処できないような状態であったが、それで下流集落の安全が保障できるのか?

〈生物の環境における評価〉
〇 山頂鉱区においては、三重県初記録の植物が10種近く記録された。 xxxミツバにおいては、山頂鉱区で新たに広範囲にわたり生育していることが確認された。 全国ランクで2番目に(絶滅危惧Ⅱ類・VU)絶滅が危惧される種であり、九州ではすでに認められなくなり、岡山県の発見地にも存在しないと言われる(他には1カ所存在する)。  これらの保護についてどう対処するのか?

〇 アセスの結果、種子植物においても、三重のRDBにあがっている、クロヒナスゲ、チョウジザクラなどの重要植物が記載されていない。 再調査の必要性がある。


〇 xxxxマイマイについては全国でも藤原岳東面にしか分布していない超貴重種であり、三重県指定の特定稀少20種に含まれており採取はもちろんのこと、接触も禁じられている種である。 その個体数の集中する所が鉱区の中心となっている。 下部にも存在するが、個体数プロットを見ると少ない。  このような状態なのに工事を許可するのか?

〇 xxxミツバは全国のみならず藤原岳でも長年月かけて特異な環境の場所にしか適応できなかったものである。 移植して更に増殖能力があるとしたら、もっと分布を拡大しているはずである(xxxxマイマイも同じ)。 これらの移植について、太平洋セメントの見解は?

〇 イヌワシの保護とエサ場の創出を太平洋セメントは言っているが、新しいエサ場にノウサギが期待通りやって来るとはとても推測できないが、それよりもさらに自然林の伐採により、植物の生態系を攪乱することで、さらに貴重な植物の減少や絶滅の方が心配される。  さらに重要なのはシカの食害である。

〇 宮崎県では、貴重植物などの減少の第1要因は「シカの食害」となっている。 藤原岳でもシカの食害がはげしく、ディアーライン〈シカの背の高さ〉までは下草も樹木の葉も全くなくなっている状態である。 なのにノウサギ出現を期待する柵もしないエサ場を作っても何の意味もないことがわかる。 残るのは動物の喰わないイワヒメワラビやマツカゼソウなどの群落である。 そのような所にノウサギが出現するはずがない。 単に生態系の破壊を進めるに過ぎない。 現状を全く理解していない構想である。

〈組織培養について〉
〇 貴重植物は組織培養によって増やすと言っている。 ところが最近では、他地域から持ってきて移植された個体については、その地域にもともと存在していたものではなく生態系を乱すという理由で移植個体を排除しているという発表が分類学会であった。  

〇 増殖させた個体は同一遺伝子をもつクローンであり、もしこれが増殖した場合、他の同種個体を減少させ、生物の多様性は失われることになる。 これでは存在させる意味がない。  これについてどう考えているのか?
組織培養した個体が増えて、後で排除に乗りだした所があるがそれはご存知か?

〈その他、総合的に〉
〇 生物種というものは、ある一定以上の個体数を維持できなくなると絶滅に向かうものである。 一定の狭い面積内での近親交配が進むと種の生存能力は極端に落ちて絶滅に向かう。  xxxxマイマイ、及びxxxミツバなどの最小個体維持数はいくらなのか?

〇 特定種を、隔離して存続させたり、移植によってもともとその種が存在しない別の生態系へ組みこむといった方法では真の解決にならない。  最も重要なのは、それら生物の生存している特殊な生態系を守り、存続させることである。  太平洋セメントのやろうとしていることは全く意味のないことであり、生態系というものを毫も理解していない者のやる事である。




意見書-4  (会員 M)

対象事業 : 藤原鉱山及びその周辺次期原料山開発事業
三重県環境森林部水質改善室 殿

* 準備書は説得力に欠けすぎた。
開発には環境上の問題の発生はつきものであり、やむを得ないと言えましょう。
そこで事業者はアセスメントによって、その解決案を社会に示すわけで、準備書の内容は調査にもとづく代替案、補償措置案が中心になります。
今回の藤原山頂鉱区では、イヌワシと、xxxxマイマイおよびxxxミツバが問題のシンボルになりました。  事業者は代替案として準備書で、林間ギャップの創設と移植を提案しました。
しかし、評価委員会でも、住民意見でも、この案は完全に矛盾だらけで実現不可能であり、苦しまぎれの思いつきでしかないことが明らかになりました。
県は認可にあたって、この代替案がほんとうに有効であるのか否かを、評価委員会その他の論議に耳を傾けて、慎重に判断するべきであり、よもや、開発と平行で実験をするなどという事業者の意向を認めてはなりません。

* 重要な調査がなされていません。
採掘による新たな地下水の流出、滲出への懸念は、有害物質による健康問題として絶対に無視できない重要問題なのに、会社側は、いろいろな理屈をつけて調査を避けています。 調査の徹底は不可欠です。 指導をお願いします。
同じく、鍾乳洞は生物・地質研究と国民の観光自然資源として非常に重視されます。
会社は他の鉱山でも鍾乳洞発見の例はなかったとし、今回のアセスでも鍾乳洞調査は困難としています。 このカルスト山地を長年歩いてきた私の経験では、風穴、鍾乳洞は必ず存在すると予想します。 事前の調査はこれまた絶対に必要です。
  
* 菌類調査が不十分・不徹底である。
準備書からうかがえる菌類調査結果は内容、評価いずれも不十分、不適切と思われます。
今回のアセス会社の調査では、膨大な数のキノコが、おそらく属の段階まで推定できても種の特定にまでは至ることができなかったはずです。 また、地下生菌、冬虫夏草など多数の見落としもあったはずです。  準備書には9目27科47種を確認とあり、植物担当の評価委員からも種数が少なすぎるという指摘を受けています。  準備書では今回、不明種を不明種としてむしろ丁寧に記録するべきでありました。  それによって、調査地点の豊富な菌類環境の特徴が窺いしれるからです。 不明種の多い場所ほど、菌類生息上、興味ふかい土地でもあります。 
また、同定には、きわめて詳しい専門家たちによる調査が必要です。 
筆者らは、同じ石灰岩質の隣の御池岳で珍しいキノコ2種を見つけ、専門研究者によって新産種タネミケシボウズタケ(Tulostoma fulvellum)、および世界的にも稀で日本では初出のスゴモリダンゴタケ(Bovista ochrotricha)と命名され学会誌に発表されたが、いずれもまだ国内の他の箇所からの発見はないという超希少種であります。 地質からみて、今回の予定鉱区にも十分その生息の可能性はうかがえる。  
藤原地区では、その他、ルリハツタケ(Lactarius indigo)、ウロコケシボウズタケ(Tulostoma squamosum)などの貴重種も記録されている。
そもそも準備書に、どこにでもあるタマゴタケごときが、xxxxマイマイやxxxミツバと同列の写真扱いで掲載されているのは、異様であり噴飯ものである。 会社側は、重要種だとはどこにも書いていないと回答していたが、他に碌なものが出なかったことの例証であり、今回の菌類調査の内容の貧しさが推測され、非常に遺憾である。
知られるとおり、蘚苔類、地衣類、菌類は地味ながらも、自然環境の最高の指標生物である。
シカ食害の影響を防止した環境を作った上での、高度な再調査を要望します。

* 今回のアセス準備書には地元研究者の知見が反映されていない。
藤原岳は全国的にも珍しい動植物の宝庫だという事実は事業者もよく認識されているようですが、今回のアセスメント準備書を見るかぎり、その内容には地元の専門家たちの知見や意見がほとんど反映されていないのはどうしたことでしょうか。 例えば、藤原岳自然科学館や、藤原岳自然探査会、みえ菌輪の会などは、多年にわたり藤原岳の生物の生態を調査、研究してきましたが、彼らの貴重な知見はどの部分に反映されていますか? 
地元の専門家は多士済々です。 。

* シカ食害と調査の問題
何度もふれますが、いま、藤原岳もシカによる食害で生態系は惨たる様相を示しています。
今回のアセスは異常な藤原岳の偏った姿しか反映していないという事実を、どれほど関係者らが認識されておられるか大変心配です。 平生でない姿の生態系なのです。 それでも今回の調査では沢山の貴重種がでてきました。 あらためて驚くと同時に、調査の公平さに敬意を表します。
ある面積を数年間、柵で囲い、シカの影響のない環境のもとで生物調査をおこなうべきである。

* 移植の不合理性
当該稀少種の生物が存続さえできたらそれで問題解決かといえば、それは逆転した考えです。  
なぜならば、もともとあった、豊かで比類のない恵まれた自然があってこそ、これらの貴重種が多数生息してこられたのですから、一番大事なのは基礎になる周辺の土、水、空気と生態系全体です。  それらの自然を回復不可能なまでに破壊し尽くしておいて、稀少種のみを移植で保存できても自然環境上、なんの意味もありません。
また、移植や培養種による生態系の攪乱については、いろいろ逆に弊害が指摘されているようですが、その点について会社側は何らの認識ももっていないことは由々しい問題である。 
準備書の最大の弱点は、貴重種の保全にだけ目がゆき、生態系の保全という根本が抜け落ちていることです。

以下、続く


More 続く
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その1 (会員 S)             2011.8.25

〔意見〕
① 治田鉱区は事業延期区域ではなく、中止にしていただきたい。 
その理由は県内で最後のイヌワシ親子個体であり最重要地としての文化的経済的価値があるからです。

② イヌワシの餌となる動物調査が不足しています。
その理由は、爬虫類リストに、カナヘビ、アオダイショウ、シマヘビ、シロマダラ、ヤモリ、イシガメが準備書に未記載だからですし、特にアオダイショウについては個体数を主とした分布及び生態調査が必要です。

③ 多志田谷や新町谷で有名なカジカガエルが記載されていない理由はどうしてですか? また、オオサンショウウオについては、昨年も東禅寺地内で死亡個体発見騒動がありましたが未確認に終わりました。 しかし、20~30年前には東禅寺の住民が30cm程の個体を目撃しています。 
地元住民を尊重した聞き込みが必要ではありませんか。

④ 多志田の鉱泉について、地元の聞き込み不十分と思います。
治田区域の上部に冬の積雪期においても「ユゲ」が上がっていて雪が積もらない場所があるという。この下には竪穴(洞窟)があると専門家は言います。是非とも調査をしてください。(温泉資源の侵害は鉱山法に抵触し違法です)

⑤ 藤原町には「藤原岳自然科学館運営委員会」や、キノコ専門の観察グループである「みえ・菌輪の会」があります。 連携を密にして調査を充実させていただきたい。

⑥ 昆虫リストで、ヒサマツミドリシジミ、ウスバシロチョウ、スジボソヤマキチョウ、ムカシトンボ、ムカシヤンマ、ハルゼミ、エゾハルゼミ、エゾゼミ、チッチゼミ、ニシキキンカメムシの生息確認はどうでしたか?

⑦ 魚のハリヨが未記載と思いますが、東禅寺の〈まちかど博物館〉「さかな館」の館長に確かめて下さい。

⑧ イヌワシの餌を確保するための林間ギャップは生態系の破壊になり、結果的に稀少種の減少となります。 それよりもノウサギやアオダイショウが増加する環境をつくるべきだと思います。

⑨「藤原鉱山残壁研究会」の記録を公開して下さい。

⑩ 鉱山の残壁緑化は、先ずコケ類から進めるべきだと思います。

⑪ 多志田川の全地域を対象に、表流水の回復をさせていただかないと、農業用水や生活用水が不足していますのでよろしくお願いします。市や県には強く要望しています。

⑫ 平成22年1月15日の事業者見解では、害獣についてはすぐ対応するとの事でしたが、未だに「ナシノツブテ」であります。 特に東禅寺としては困っていますので早々に関係者と要望に伺いますので、誠心誠意の対応をして下さるようお願いします。

⑬ 事業者を取りまく地域状況も変化しつつあり、人口に関する経済環境も考え、ペティ=クラークの法則についても十二分な配慮をしていただきたい。
 


その2  (会員 Y)                2011.8.25

〔意見〕
① 多志田谷のズリのたれ流しの件
先日、8月初め多志田谷に入った。 途中15分ほどのにわか雨にあった。 岩の下で雨宿りしたが10分程で左側孫太尾根側と右側頂上三角点方面からのたれ流しのズリの間から濁流が流れだし、本流もあっという間に茶色の水へと変化した。 大きな危険を感じた。 このような現状を無視して、よくぞ準備書はきれいごとが言えたものだ。

② 大貝戸の土石流に関わる件
これも同じく多志田に入ったその直後の事であった。 植物の確認も含めて山頂鉱区の北斜面に入った。 下部では大貝戸方面への土石流対策のため、多くの堰堤が作られている。 崩れは工事区のalt.800mあたりまで延びていて今も小さな崩壊が続いている。 800mから頂上三角点1009.6mあたりの斜面では、シカが走るたびに大きな落石がある。 こちらも大変危険な状態であった。 ここを発破をかけて崩していくというのだからとんでもない話である。

③ 貴重植物について
全国的にも貴重なxxxミツバ(絶滅危惧1B類(EN))は、まさに工事区のまっただ中に存在する。 本州中部以西、四国の石灰岩地帯にまれに点在する(九州では現在確認されていない)。 何千万年とかけて石灰岩地域のそれも特殊な場所に適応して生き残ったものが簡単に移植して生育できるわけがない。 少なくとも藤原岳の他地域に移植して10年以上個体数の減少なくして生き残ったら成功といえるだろうが、そのような場所はきっと存在しないであろう。 「組織培養」ばかり何故か強調されているが、仮に実験室の中で生存させ続けてもそのようなものに生態上の意義はない。
さらには、ヒメニラを始め、三重県では超貴重な植物が初記録されている。 即刻の事業中止を望む。

④ 貴重動物xxxxマイマイについて
三重県指定稀少野生動物種20種に指定されている「xxxxマイマイ」。 三重県自然環境保全条例に基づき、触れることもできない「xxxxマイマイ」。 藤原岳東側の石灰岩地帯にのみ分布する、全国には分布しない三重県特産種である。
発表されたプロットを見ると工事区に生息が集中している。 予定通り工事が進めば絶滅の可能性が出てくる。これに対しても「移植」という言葉が使われた。 移植が可能かどうか? これもxxxミツバと同様である。 
準備書p.635で、「生態の詳細は不明である」と記述されている。 生態が不明なのにどうして移植が可能なのか。 とんでもない適当なごまかしを言っているではないか。 プロットは山頂鉱区で10個、治田鉱区では18個近くにも及ぶ。

⑤ 景観および、その他
以前に大変問題となった秩父・武甲山1304m(以前1336m)と同様の風貌を呈してきた。
9月初め、埼玉秩父・武甲山と武甲山資料館に視察に行き、いろいろ現地の話を聞いてきた。 武甲山では、秩父市教育委員会の中に「武甲山植物群保護対策推進協議会」の事務局が置かれていた。 変わりゆく故郷の武甲山の姿を子ども達に描かせていた。
藤原岳を第二の武甲山にはさせないよう、地元および県で取り組んでいく必要があると思う。




その3  (会員 I)             2011.8.25

(意見)
藤原岳一帯は日本海や太平洋、北方、南方、それぞれを特徴づける植物や石灰岩特有の植物が混生し生育する重要な地域である。 工法の如何を問わず山頂鉱区が最終的にはalt.600mまで採石され掘り下げられること、治田鉱区が一時的な採石停止とはいえ再開の可能性が大きいことについては、持続可能な開発が重視される中、自然の保護・保全をし、開発の中止を主張します。 以下はその理由。

☆ クロヒナスゲ(三重県RDB掲載種)、チョウセンキンミズヒキ(三重県RDB作成後発見、レッド級)、イブキトボシガラ、チョウジザクラなど、アセスにリストアップされていないものがあり、再調査と環境影響評価を要望します。

☆ ヒメニラ(三重県RDB作成後発見、レッド級)、xxxミツバ、イワウメヅル(三重県RDB後発見、レッド級)は鉱区だけに生育する極めて重要な種である。 また、キンキマメザクラ、アサダの絶滅やイワザクラについても大きな影響を及ぼすと言えます。 現存種による緑化や貴重種の移植対策を計画しているようですが、微妙な環境を選んで生育してきなものが活着・回復することは不可能に近い。

☆ 現在の山肌露出景観の見苦しさだけでなく、多志田谷への土砂礫流出及び河床の上昇には目に余るものがあります。 このことにより、すでに絶滅したり、絶滅に瀕している種がある。 これはまさに人災に他ならない。 もし仮に新たに開発するにしても、現在の惨状を回復し、植生回復能力を証明してからにするべきである。
調整池の設置が計画されているようですが、近年の集中豪雨の多発傾向、森林の湧水調節能力の消滅や水の濁りに対する対策は考えられているのであろうか極めて疑問です。
唯一100%近くを供給できる石灰岩であることは承知していますが、是非、自然破壊を伴う開発行為については中止を切にお願いしたい。



その4  (会員 M)        2011.8.25

〔意見〕
長年、鈴鹿山系の登山に親しみ、同時に植物・キノコの初歩を学んでいる一登山者として、意見を申しあげます。
準備書からうかがえる〈菌類〉調査結果は内容が不十分、不適切です。
藤原岳周辺の菌類調査と研究は、過去、故吉見昭一氏の指導のもとに十数年間断続的に行われてきて、石灰岩質の山における菌類の特殊性と豊富な未知菌類の存在予測はえられたものの、その実態解明と種特定作業は十分に進んだとは言えません。 そもそも日本の特に山岳における菌類の研究は、まだ手つかずの段階であり、今回のアセス会社の調査でも、膨大な数のキノコが、おそらく属の段階まで推定できても種の特定にまではたどりつけなかったり、また地下生菌、冬虫夏草など多数の見落としがあったはずです。 準備書では今回、不明種をむしろ丁寧、率直に記録するべきでありました。  また、解明には、きわめて高度な専門家たちによる腰をすえた再調査が必要でしょう。
筆者らは、同じ石灰岩質の隣の御池岳で珍しい菌類2種を発見し、後に新産種タネミケシボウズタケ(Tulostoma fulvellum)および世界的稀産種のスゴモリダンゴタケ(Bovista ochrotricha)と命名・記載され学会誌に紹介されましたが、両種ともまだ国内の他の箇所からの発見はないという超希少種であり、地質からみて、今回の予定鉱区にも十分その生息の可能性はうかがえるのです。
藤原岳は故吉見先生が驚嘆された、菌類とくに腹菌類貴重種の宝庫である。  ところが準備書には、ありふれたタマゴタケごときが、xxxxマイマイやxxxミツバと同列の貴重種扱いで選ばれている(?)のは、準備書の学的水準として異様であり、不思議です。 
いかに、菌類調査がなおざりにされたかが証明されます。

藤原岳は全国的にも珍しい動植物の宝庫だという事実は事業者もよく認識されているようですが、今回のアセスメント準備書を見るかぎり、その内容には地元の専門家たちの知見や意見がまったく反映されていないのはどうしたことでしょうか。 例えば、藤原岳自然科学館や、藤原岳自然探査会、みえ菌輪の会などは、長年にわたり藤原岳の生物の生態を調査、研究してきましたが、彼らの貴重な知見はどの部分に反映されましたか?  アセス指導に一部係わられた方もおられるようですが、代々の委員の専門家は多士済々です。 せっかくの地元の知見の山が生かされておりません。

つぎに、いま、藤原岳もシカによる食害で生態系は惨たる様相を示しています。
今回のアセスは異常な藤原岳の姿しか反映していないという事実を、どれほど関係者らが認識されておられるか大変心配です。 平生でない姿の生態系なのです。 それでも調査では沢山の貴重種がでてきました。 驚くと同時に敬意を表します。
まずシカの問題を解決し(J.ニコルソンは食肉への利用を薦め、廃棄の現状に怒っている)、そのうえで再調査をするべきです。 

次の問題点は、対策としての「移植」の問題である。  いったい、稀少な生物とは、気の遠くなるような地球の年月をかけて、自分に最適の環境を生物が求めつづけ、やっと選びに選らんだ究極の場だけに生息するに至ったからこそ稀少種なのであり、また、移植で確実に新たな環境に適応し子孫を残していける安易なものならば「希少種」となるはずがない、という素人の私でも理解している基本的真実をどう把握されているのか? 
そもそもイヌワシやxxxミツバなどの個体を支える精妙な自然こそ残すべき遺産です。 発想が逆転している。 
今回、xxxミツバやxxxxマイマイが移植で生息可能とするならば、事後着手と結果モニターではなく、まず事前に移植試験をしてその結果をもって堂々と返答していただきたい。 開発してから、計画どおりにならず済みませんでした、ではアセスメントをやる意味はまったくない。 
イヌワシ対策に、野ウサギ繁殖用の草原を創出するというが、広範な樹林を伐採すれば、おなじく貴重な下部植物は絶滅してしまい周辺にも深刻な環境悪化が及び、その損失ははかりしれない。 そんな当たり前な事実にすら思いがいかないのであろうか。

緑化と復元をうたっていたが、私がまず要望することは、すでに裸地化し荒廃しきった多志田渓谷斜面と藤原岳東面のうち、可能な部分をできるかぎり緑化、復元することである。 その工事への投資と実行、結果検証を経ぬままで、新たな鉱区の開発で失う自然を緑化で修復しますという回答には納得しきれない。
さらに提言したいことは、会社の返答にある緑化と復元の言質の担保である。
企業の消長は激しく、ことに同セメント会社の歴史は合同合併に明け暮れた歴史と断定してもよい。 また産廃会社が自ら後始末をきちんとしてきた例はまず見られず、企業の内容も陣容も理念も50年間ですっかり変化します。 口約束ではなく、例えばいなべ市に緑化基金を毎年積み立てをするなどの資金的な担保が必要です。 同企業を信用しないのではなく、信用を尊ぶ企業ならば自らそこまで配慮と確約を示すはずです。

以上、私見を総合して3つの点を指摘し、その検討と着手、実施を要望する。
① シカ対策後に植生と菌類の再調査をする。 地元の専門家の知見を活用。
② 移植が可能なのか、事前実験と検証が必要
③ すでに裸地化した土地の大半の緑化と復元、今後の緑化事業の資金の確立
環境保全にかかわる以上の3点をクリアするまで、今回の鉱区拡張計画を急がないように要望します。

最後に、自然災害の頻発する昨今、藤原岳の土砂災害は本当に大丈夫ですか









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