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意見書は「ベニスの商人」裁きか? 
                         (会員・藤原昧々)  2012.01.31 記

県は、年末の多忙時に審議委員会を行い、年明け早々には答申が出され、1月26日には知事意見の表明がなされた。 意見書全文は、本会のブログに掲載されています。

公表の知事意見書をどう読むかは、いろいろ見方が分かれるところではないでしょうか。
私の受けとり方を結論から言うと、これは事実上のゴーサインでありながら、様々な制約をからめることで、当面、 急激で大幅な自然破壊は遅れることになり、見方によれば、一種の時間稼ぎになっていると思いましたがいかがですか。 楽観的でしょうか。

たとえれば、「注文の多い」知事意見であり、「ベニスの商人」裁きであったと。
要するに、主文はゴーサインとなり開発阻止派敗訴なのに、中味はやたらと時代の要請をくみとった注文づくめの料理のために事業者側が結果はまる裸になるみたいな判決。
べつの譬えでは、事業者側が当然の権利として求める心臓(開発)の要求を主文で認めつつも、「一滴の血(希少生物)も流してはならない」という無理難題を押しつけた判決のようなものか。 もちろん私に事業者側をシャイロック呼ばわりする気は毛頭ありませんが。

生息する超希少陸貝の扱いが今後、事業者側には荷が重くなる。 障害だらけの隘路に重機を進めねばならない困難が立ちふさがっている。
意見書には、県担当者の方々の細かい配慮や、答申にむけた審議会の動植物関係の先生方の精一杯のご努力を感じずにはいられない。 会長・副会長の苦心の収拾ぶりも覗える。
これで今、序盤が終わりいよいよこれからが長い正念場だ。
今後、藤原岳の自然保全は、県、有識者、地元住民や自然保護関係者たちの、監視、告発、助言、勧告、指導などの行動実行の如何にすべてがかかっている。
また、各方面からの要望の強さやキャンペーンのありかた次第でしょう。

私個人として、意外なのは、山頂鉱区掘削による土石流災害への懸念が一言も出ていないことだ。  一例だが、長良川河口堰で桑名市民?が最も怖れているのは津波よりも堰満水時での地震決壊による大洪水である。 日本の巨大構築物はほとんどが地震静穏時に 設計・建設されていると言われる。 
藤原岳も巨大な遊水池を作るというが既存の土地の自然破壊もさることながら満水時の決壊は危険である。 意見書に一言の言及もなかったのは不思議だ。 ひょっとすると、標高600mあたりまでがごっそり削り取られてなくなるからかもしれない。 
鈴鹿山地を歩いていて驚くのは、各地での谷の崩壊です。 隣の御池岳でも各処で崩れている。  知事は、人為で木を切り谷を破壊することの怖さを考えないのだろうか。

もっともっと声を出すこと。 みんな「思い」があり、オズオズ・シブシブであれ、思いを表に出す。 それは存外に気持ちがいいもの。

県に対して声をだそう。 意見を出そう。 山(県)は動いてくれる。

ここで、再度、知事意見の注文、 の十戒を記載して筆を擱く。

 
       《知事意見  事業者 “十戒”》

☆ 藤原岳は、石灰岩地特有の動植物が存在する、いなべ市が誇るべき自然であることから、事業の実施にあたっては、十分な環境配慮を行うこと。

☆ 事業期間50年の間に、三重県レッドデータブック等の重要な種の選定が更新された場合には、環境保全措置を行うこと。

☆ 準備書に記載されていない動植物の重要種について確認し、環境保全措置を行うこと。

☆ 地形改変により既存の植生等に大きな影響が見られる場合には、環境保全措置を行うこと

☆ 植物の移植にあたっては、事前に十分な試行を行ったうえで適地に移植し、移植後も生育状況の確認を事後調査で行うこと。 その際、移植候補エリアの環境の調査を移植前に行い、移植を行う植物の生育条件に適した場所に移植を行うこと。 また、移植先の既存の植生に対する二次的な影響についても考慮すること。 
重要種の移植を行う株数についても、評価書に記載すること。

☆ 供用開始時までに、マレーズトラップ法及びフィット法による昆虫類の調査、予測及び評価を行い、環境保全措置を行うこと。

☆ XXXXマイマイについては、移殖を前提とせず、可能な限り、事業の影響を回避・低減する方法を検討すること。

☆ イヌワシの採餌環境創出のための林冠ギャップは、試験的に施工し、その効果を確認してから行うこと。 なお、施工前にギャップの施工箇所の動植物に対する調査、予測及び評価を行い、環境保全措置を行うこと。

☆ カモシカ、および埋蔵文化財包蔵地である治田銀銅山の保護・保全に努めること。

☆ 水質に関しては、必要な調査を、現況及び採掘が行われる供用中の一定期間ごとに行い、環境保全措置を行うこと。

☆ 土壌については、カドミウムの直接摂取のリスクを踏まえ、土壌含有量調査を行うことも検討すること。

☆ 三重県景観計画に基づく景観形成基準に配慮した事業計画とすること。
                (2011年1月26日「知事意見」より抜粋)

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平成24年1月26日
藤原鉱山およびその周辺次期原料山開発事業に係る環境影響評価準備書に対する知事意見

 太平洋セメント株式会社(東京都港区台場2丁目3番5号 代表取締役社長 徳植 桂治)から送付のあった環境影響評価準備書(鉱区の面積 約59ha)について、環境保全の見地から知事意見を述べるにあたり三重県環境影響評価委員会へ諮問していました。 同評価委員会では、現地調査及び3回の委員会が開催され、平成24年1月24日に審議結果の答申がありましたので、平成24年1月25日付けで、下記のとおり環境影響評価準備書に対して知事意見を述べました。
 なお、知事意見等については、平成24年2月1日から平成24年3月16日まで、環境森林部、三重県立図書館、情報公開・個人情報総合窓口、桑名農政環境事務所において閲覧に供します。
以下、知事意見を掲載します。

(総括的事項)
1 事業実施区域となる藤原岳は、石灰岩地特有の動植物が存在し、いなべ市においても誇るべき自然と位置づけられていることから、事業の実施にあたっては、十分な環境配慮を行うこと。

2 治田鉱区の事業の延期により、自然環境への影響が回避されたことは、環境保全の上で十分評価できる。 山頂鉱区の事業の実施にあたっては、環境負荷の低減となる最新の技術、工法等を積極的に採用するとともに、新しい知見が得られた場合には、この知見に基づく環境保全措置を検討すること。

3 天然記念物であるイヌワシ、三重県指定希少野生動植物種のxxxxマイマイ及び希少な動植物の環境保全措置については、その効果が不明確であるため、有識者の意見を幅広く聞くとともに、事後調査結果の検証を行い、十分な環境保全措置を図ること。

4 事業計画の期間が50年と長いことから、この間に、三重県レッドデータブック等の重要な種の選定に用いた文献が更新された場合には、有識者に意見を聞き、関係機関と協議したうえで、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

(個別的事項)
1 大気質
  微小粒子状物質の予測及び評価の手法が、事業実施期間中に確立された場合には、その予測及び評価を行い、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

2 騒音・振動・低周波音
(1)騒音、振動、低周波音の現況の調査結果、予測手法、評価に用いる管理値について、評価書に詳細に記載すること。

(2)立坑等の工事の実施時における発破作業による騒音が、周辺環境に与える影響は小さく、問題はないと考えられるが、念のため、発破作業の実施計画を示し、夜間にも発破作業が行われることを評価書に明記すること。

3 水質
  事後調査により湧水量の監視を行うとあるが、事業の実施により周辺の湧水や河川への影響が見られた場合に事業との因果関係が分らなければ、適切な環境保全措置を実施することは難しいと考えられる。 したがって、有識者の指導を仰ぎながら、事業の実施による周辺の湧水や河川への影響を確認するために必要な調査を、現況及び採掘が行われる供用中の一定期間ごとに行い、影響が考えられる場合には環境保全措置を行うこと。

4 地形及び地質
(1)地形及び地質の調査結果内の図表、用語等については、評価書に正確に記載すること。

(2)事業の性質上回避はできないが、尾根が削られ、影となっていた場所に日が当たることで、既存の植生等に大きな影響が見られる場合には、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

5 土壌
(1)事後調査でカドミウムの土壌溶出量調査が行うとあるが、直接摂取のリスクを踏まえ、土壌含有量調査を行うことも検討すること。

6 植物、動物、生態系
(1)植物の移植にあたっては、石灰岩地で成功した事例や文献等を調査し事前に十分な試行を行ったうえで適地に移植し、移植後も生育状況の確認を事後調査で行うこと。

(2)植物の移植は移植先の環境に大きく左右されることから、移植候補エリアの環境の調査を移植前に行い、移植を行う植物の生育条件に適した場所に移植を行うこと。 また、移植先の既存の植生に対する二次的な影響についても考慮すること。

(3)植物の重要な種の移植を行う株数についても、評価書に記載すること。

(4)住民意見等において、準備書に記載されていない動植物の重要種の確認の報告があることから、その報告について確認し、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

(5)採掘後に行われるツゲによる緑化にあたっては、生育状況を確認し、十分な管理のもとに行うこと。

(6)供用開始時までに、適切な調査箇所でマレーズトラップ法及びフィット法による昆虫類の調査、予測及び評価を行い、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

(7)陸産貝類の調査結果について、ヒメビロウドマイマイは過去の文献に生息の記録がなく、また、フトキセルガイモドキはキセルガイモドキと、オクガタギセルはハゲギセルとの誤同定、混同が疑われるため、有識者の意見を聞いたうえで、評価書に正確な記載をすること。

(8)陸産貝類については、狭い範囲でかつ陸産貝類相の多様性が低いと考えられている養老山地の標高の低い調査地点における調査結果と比較しても、発見された種数は少なく、かつ未同定種が多いことから、調査の時期、調査範囲、調査に費やした人数・日数、調査の手法及び参考文献についても評価書に詳細に記載すること。

(9)xxxxマイマイについては、その生態的な基礎情報が明らかでなく、これまで実際に行われた移殖の研究事例もない。 また、移殖先への影響については、人為的な個体群の移入が元々のxxxxマイマイの個体群、他の陸産貝類相などへ多大な影響を与えることや、移動能力の少ない陸産貝類は個体群ごとに独特の分化を遂げている可能性が高く、遺伝子を攪乱することが考えられる。 したがって、移殖は極めて困難であると考えられることから、移殖を前提とせず、可能な限り、事業の影響を回避・低減する方法を検討すること。

(10)イヌワシの採餌環境の創出のために林冠ギャップの施工を予定しているが、その効果は現在不明確であり、施工場所に生育する動植物への影響も懸念されることから、ギャップを試験的に施工し、その効果を確認してから行うこと。
 なお、林冠ギャップの施工を行う場合には、施工前にギャップの施工箇所の動植物に対する調査、予測及び評価を行い、必要に応じて環境保全措置を行うこと。

(11)イヌワシ・クマタカについては、事業実施期間中は継続して、事後調査を行い、繁殖への影響の有無や林冠ギャップの効果の判断を行うにあたっては慎重に行うこと。

(12)事業実施区域にはカモシカ特別保護区が含まれており、カモシカの糞塊も確認されていることから、事業の実施にあたっては、三重県及びいなべ市の教育委員会と協議のうえ、保護・保全に努めること。

7 歴史的文化的な遺産
  事業実施区域の付近には、埋蔵文化財包蔵地である治田銀銅山が存在するため、その範囲を記載し、事業の実施にあたっては三重県及びいなべ市の教育委員会と協議のうえ、保護に努めること。

8 景観
  三重県景観計画に基づく景観形成基準に配慮した事業計画とすること。

連絡先/環境森林部 水質改善室
·担当者:浅沼、葛山·電話番号:059-224-3145·ファックス:059-229-1016·e-mail:mkankyo@pref.mie.jp



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        知事意見(2012.01.26)  〈要約〉

☆ 藤原岳は、石灰岩地特有の動植物が存在し、いなべ市においても誇るべき自然と位    
 置づけられていることから、事業の実施にあたっては、十分な環境配慮を行うこと。
☆ 天然記念物であるイヌワシ、三重県指定希少野生動植物種のXXXXマイマイ及び希少  
 な動植物の環境保全措置については、その効果が不明確であるため、有識者の意見を  
 幅広く聞くとともに、事後調査結果の検証を行い、十分な環境保全措置を図ること。
☆ 事業計画の期間が50年と長いことから、この間に、三重県レッドデータブック等の
 文献が更新された場合には、必要に応じて環境保全措置を行うこと。
☆ 水質に関しては、周辺の湧水や河川への影響を確認するために必要な調査を、現況
 及び採掘が行われる供用中の一定期間ごとに行い、必要な場合には環境保全措置を行  
 うこと。
☆ 尾根が削られ、影となっていた場所に日が当たることで、既存の植生等に大きな影
 響が見られる場合には、必要に応じて環境保全措置を行うこと。
☆ 土壌については、事後調査でカドミウムの土壌溶出量調査を行うとあるが、直接摂
 取のリスクを踏まえ、土壌含有量調査を行うことも検討すること。
☆ 植物の移植にあたっては、石灰岩地で成功した事例や文献等を調査し、事前に十分
 な試行を行ったうえで適地に移植し、移植後も生育状況の確認を事後調査で行うこと。
☆ 植物の移植は移植先の環境に大きく左右されることから、移植候補エリアの環境の
 調査を移植前に行い、移植を行う植物の生育条件に適した場所に移植を行うこと。 
 また、移植先の既存の植生に対する二次的な影響についても考慮すること。 移植株数の 
 記録も必要。
☆ 住民意見等による報告で、準備書に記載されていない動植物の重要種があることか
 ら、その報告について確認し、必要に応じて環境保全措置を行うこと。
☆ 供用開始時までに、適切な調査箇所でマレーズトラップ法及びフィット法による昆
 虫類の調査、予測及び評価を行い、必要に応じて環境保全措置を行うこと。
☆ XXXXマイマイについては、移殖は極めて困難であると考えられることから、移殖を
 前提とせず、可能な限り、事業の影響を回避・低減する方法を検討すること。
☆ イヌワシの採餌環境の創出のために林冠ギャップの施工を予定しているが、その効
 果は現在不明確であり、生育する動植物への影響も懸念されることから、ギャップを
 試験的に施工し、その効果を確認してから行うこと。 なお、その場合には、施工前
 にギャップの施工箇所の動植物に対する調査、予測及び評価を行い、必要に応じて環
 境保全措置を行うこと。
☆ 事業の実施にあたっては、カモシカの保護・保全に努めること。
☆ 埋蔵文化財包蔵地である治田銀銅山の範囲を記載し、事業実施にあたっては保護に
 努めること。
☆ 三重県景観計画に基づく景観形成基準に配慮した事業計画とすること。

連絡先/環境森林部 水質改善室  担当者:浅沼、葛山電話:059-224-3145  fax:059-229-1016    
•e-mail:mkankyo@pref.mie.jp



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意見書-1 (会員 I)

○アセス準備書、委員会での質疑応答内容等ついての県広報活動はHP以外にどのような方法をとっていますか。
藤原岳は早春植物で全国的にも知られた山です。 開発が拡大計画されていることを一般の人達にもっと広く知らせられる手段を講じてほしい。

○開発の長期計画を県は把握していますか。
山頂工区開発期間は50年としていますが、中止されている治田工区(孫太尾根)、その後は工区から500mの位置にある山頂や展望丘あたりを開発し、将来的には御池岳方面へと迫っていくことになるのではないでしょうか。

○事業者は工区内の県内希少植物の保全ついて、50年の開発期間の中で工区の進行に合わせて組織培養法や移植を含む手法で対策するとしている。 xxxミツバ、アサダについては挿し木を、イワツクバネウツギ、ハシドイ、ハイイヌガヤ、チャボガヤ、イヌブナ、オヒョウ、メグスリノキ、チョウセンナニワズについては挿し木・取り木・播種を、その他(ヒメニラ、イワザクラ等)については移植となっています。 どの手法をとっても最終的には工区内へ植えることになろうかと思います。 さて、植える場所について、工期50年間のなかで採石の進行に合わせて順次植え付けや移植を進めるようですが、そのようなことで植物の定着が可能でしょうか。 一般に森林の開発地を現状復帰するには最低100年かかるといわれます。 ましてや現地は石灰岩地で塩基性の痩せた土地であり、土壌も極めて薄いことから回復にはより長期間を必要と予想されます。 回復が長期を要することは足尾銅山、武甲山がよい例です。 採石地域の落葉広葉樹林は現地の環境に適応しながら長い時間の中で成立したものです。 また、林床の県内希少種も微気候を含むこの生態系に適応して生育しています。 植物だけではなくxxxxマイマイも微妙な環境の下で生息していることについては同様です。 砕石にはトンネル工法を用いて騒音・粉塵への対処をするようですが、工区が裸地化されることに変わりはありません。 工事の進捗に並行してその都度、移植・緑化を試みるようですが、これではもとの生態系を取り戻せないばかりか、植生の回復すら困難です。 現在進行中の採石工区の緑化状況や多志田谷の惨状をみても不可能なことは明らかであると言わざるを得ません。 
可能であることを証明し実現してから新工区の開発に着手していただきたい。 近年自然の持続可能な開発が重視されていますが、大規模採石行為にはもちろん実行不可能です。

○この開発行為は生態系・種・遺伝子多様性の保全のどれにも大きな影響があります。
種の多様性の保全のために移植や組織培養が準備されていますが、希少種の生育維持には現在生育している生態系を再現することが最低限必要です。 50年ではとても希少種生育環境の確保は不可能です。
また、組織培養法を用いて希少種の増殖を計画してますが、種内の遺伝子多様性の保全に反していますし、結果として同一形質をもった環境の変化に対して脆弱な個体群になってしまいます。 マメナシ(イヌナシ)の地域個体群の絶滅危険度が予測されていることも同様です。 ただし、地域内の全個体を抽出して培養をするなら別ですが。 培養し植え付けるにしても代替地を準備し実際に現地で試し成功することが工区開発の前提条件です。

○イヌワシの狩場(餌場)として林間にギャップを設け草原化するようであるが、その維持管理は保障できるのでしょうか。
草原化に伴いシカが食べないマツカゼソウやイワヒメワラビ、コバノイシカグマが侵入し、残され、繁茂した単純なバッチ状草原が成立するだけでノウサギの採餌場にはならないように想像するがいかがでしょうか。 成功の実証例はありますか。

○xxxxマイマイはこの地域だけに生息し、三重県自然環境保全条例第4条第2節(第18条~第21条)、「三重県指定希少野生動植物種の指定」の対象種です。 これを対象から外すには、種の生息に支障のない限りにおいてとなっていますが県としてはどのように解釈していますか。

○住人意見に対する事業者の回答に「事業者所有地から離れた所の対策は困難と考えられる」とあるが、採石進行に伴い地形・地質・植生の改変が将来的に地域に影響を及ぼすことは確実であろう。 気候の変化や水利面、土砂流出などに万全の対策をとっておくことが必要です。

○石灰岩の加工に伴いCO2が発生します。 CaCO3として固定されていたものが大気に放出されます。 二酸化炭素の低減は京都議定書にもあるように国策とされ多方面で取り組まれています。 この状況を踏まえ、努めて緑化を意識し実行してもらいたい。

○以上、この準備書は疑問点・不明点が多いこと、生物の分類群によっては調査種に漏れが多いこと、生態系維持の観点にたった分析の弱さなどが見られます。
生物の再調査をはじめ再度の環境アセスメントを要望します。
  



意見書-2  (会員 S)

1.動植物の稀少種や貴重種の保護及びササ枯れ再生のために、シカの駆除を生態的保存頭数まで減少させる必要がある。 そのため、早急に地元猟友会と交渉を進めていただきたい。

2.多志田谷のほとんど伏流水地域である河川を、昭和30年代の表流水が流れるように抜本回復してほしい。

3.イヌワシの保護にあたっては、即座に開発のすべてを中止することであります。
イヌワシは県民の宝であり、市民の宝でもあります。 このイヌワシを我々の生活地点から観察できるように工夫し、イヌワシへの恩返しを考えるべきではないだろうか。

4.特別天然記念物のカモシカがアセスの調査期間中に、4個体死亡しました。
県、市、アセス会社の連携のなさが浮彫りになりましたが、保護について真剣に考えているとは思われません。

5.特別天然記念物のオオサンショウウオはまったく無視されたままですが、この有様は、市も県も環境影響評価委員会のメンバー方々も、現場で汗をかくことを忘れておられるような気がしてなりません。

6.徹底した情報公開と地域住民の参加が大切で、環境影響への科学的分析と同時に公正な判断には住民の意思が反映されなければならない。  住民からの問題提起は、結果的には問題解決につながることを認識すべきだ。




意見書ー3  (会員 Y)

〈土砂災害について〉
〇 大貝戸集落堰堤工事の場所より工事予定区へ登ると、谷中腹部の自然崩落が激しい。 発破をかけて石灰石を採るというこてであるが、改変による崩壊が起こらず下流の集落が絶対に安全であるという保証はあるのか?

〇 孫太尾根、及び藤原岳山頂鉱区からのズリのたれ流しにより、多志田谷は崩壊して登山道も廃道となり立入り禁止になっているが、その様な状態をこれからも放置するままで何の指導も県としてはしないのか?  8月に入山して植物調査をしていたところ、10分ほどのにわか雨で、両側のズリを流し出した箇所より濁流が流れ始め、もし大雨なら対処できないような状態であったが、それで下流集落の安全が保障できるのか?

〈生物の環境における評価〉
〇 山頂鉱区においては、三重県初記録の植物が10種近く記録された。 xxxミツバにおいては、山頂鉱区で新たに広範囲にわたり生育していることが確認された。 全国ランクで2番目に(絶滅危惧Ⅱ類・VU)絶滅が危惧される種であり、九州ではすでに認められなくなり、岡山県の発見地にも存在しないと言われる(他には1カ所存在する)。  これらの保護についてどう対処するのか?

〇 アセスの結果、種子植物においても、三重のRDBにあがっている、クロヒナスゲ、チョウジザクラなどの重要植物が記載されていない。 再調査の必要性がある。


〇 xxxxマイマイについては全国でも藤原岳東面にしか分布していない超貴重種であり、三重県指定の特定稀少20種に含まれており採取はもちろんのこと、接触も禁じられている種である。 その個体数の集中する所が鉱区の中心となっている。 下部にも存在するが、個体数プロットを見ると少ない。  このような状態なのに工事を許可するのか?

〇 xxxミツバは全国のみならず藤原岳でも長年月かけて特異な環境の場所にしか適応できなかったものである。 移植して更に増殖能力があるとしたら、もっと分布を拡大しているはずである(xxxxマイマイも同じ)。 これらの移植について、太平洋セメントの見解は?

〇 イヌワシの保護とエサ場の創出を太平洋セメントは言っているが、新しいエサ場にノウサギが期待通りやって来るとはとても推測できないが、それよりもさらに自然林の伐採により、植物の生態系を攪乱することで、さらに貴重な植物の減少や絶滅の方が心配される。  さらに重要なのはシカの食害である。

〇 宮崎県では、貴重植物などの減少の第1要因は「シカの食害」となっている。 藤原岳でもシカの食害がはげしく、ディアーライン〈シカの背の高さ〉までは下草も樹木の葉も全くなくなっている状態である。 なのにノウサギ出現を期待する柵もしないエサ場を作っても何の意味もないことがわかる。 残るのは動物の喰わないイワヒメワラビやマツカゼソウなどの群落である。 そのような所にノウサギが出現するはずがない。 単に生態系の破壊を進めるに過ぎない。 現状を全く理解していない構想である。

〈組織培養について〉
〇 貴重植物は組織培養によって増やすと言っている。 ところが最近では、他地域から持ってきて移植された個体については、その地域にもともと存在していたものではなく生態系を乱すという理由で移植個体を排除しているという発表が分類学会であった。  

〇 増殖させた個体は同一遺伝子をもつクローンであり、もしこれが増殖した場合、他の同種個体を減少させ、生物の多様性は失われることになる。 これでは存在させる意味がない。  これについてどう考えているのか?
組織培養した個体が増えて、後で排除に乗りだした所があるがそれはご存知か?

〈その他、総合的に〉
〇 生物種というものは、ある一定以上の個体数を維持できなくなると絶滅に向かうものである。 一定の狭い面積内での近親交配が進むと種の生存能力は極端に落ちて絶滅に向かう。  xxxxマイマイ、及びxxxミツバなどの最小個体維持数はいくらなのか?

〇 特定種を、隔離して存続させたり、移植によってもともとその種が存在しない別の生態系へ組みこむといった方法では真の解決にならない。  最も重要なのは、それら生物の生存している特殊な生態系を守り、存続させることである。  太平洋セメントのやろうとしていることは全く意味のないことであり、生態系というものを毫も理解していない者のやる事である。




意見書-4  (会員 M)

対象事業 : 藤原鉱山及びその周辺次期原料山開発事業
三重県環境森林部水質改善室 殿

* 準備書は説得力に欠けすぎた。
開発には環境上の問題の発生はつきものであり、やむを得ないと言えましょう。
そこで事業者はアセスメントによって、その解決案を社会に示すわけで、準備書の内容は調査にもとづく代替案、補償措置案が中心になります。
今回の藤原山頂鉱区では、イヌワシと、xxxxマイマイおよびxxxミツバが問題のシンボルになりました。  事業者は代替案として準備書で、林間ギャップの創設と移植を提案しました。
しかし、評価委員会でも、住民意見でも、この案は完全に矛盾だらけで実現不可能であり、苦しまぎれの思いつきでしかないことが明らかになりました。
県は認可にあたって、この代替案がほんとうに有効であるのか否かを、評価委員会その他の論議に耳を傾けて、慎重に判断するべきであり、よもや、開発と平行で実験をするなどという事業者の意向を認めてはなりません。

* 重要な調査がなされていません。
採掘による新たな地下水の流出、滲出への懸念は、有害物質による健康問題として絶対に無視できない重要問題なのに、会社側は、いろいろな理屈をつけて調査を避けています。 調査の徹底は不可欠です。 指導をお願いします。
同じく、鍾乳洞は生物・地質研究と国民の観光自然資源として非常に重視されます。
会社は他の鉱山でも鍾乳洞発見の例はなかったとし、今回のアセスでも鍾乳洞調査は困難としています。 このカルスト山地を長年歩いてきた私の経験では、風穴、鍾乳洞は必ず存在すると予想します。 事前の調査はこれまた絶対に必要です。
  
* 菌類調査が不十分・不徹底である。
準備書からうかがえる菌類調査結果は内容、評価いずれも不十分、不適切と思われます。
今回のアセス会社の調査では、膨大な数のキノコが、おそらく属の段階まで推定できても種の特定にまでは至ることができなかったはずです。 また、地下生菌、冬虫夏草など多数の見落としもあったはずです。  準備書には9目27科47種を確認とあり、植物担当の評価委員からも種数が少なすぎるという指摘を受けています。  準備書では今回、不明種を不明種としてむしろ丁寧に記録するべきでありました。  それによって、調査地点の豊富な菌類環境の特徴が窺いしれるからです。 不明種の多い場所ほど、菌類生息上、興味ふかい土地でもあります。 
また、同定には、きわめて詳しい専門家たちによる調査が必要です。 
筆者らは、同じ石灰岩質の隣の御池岳で珍しいキノコ2種を見つけ、専門研究者によって新産種タネミケシボウズタケ(Tulostoma fulvellum)、および世界的にも稀で日本では初出のスゴモリダンゴタケ(Bovista ochrotricha)と命名され学会誌に発表されたが、いずれもまだ国内の他の箇所からの発見はないという超希少種であります。 地質からみて、今回の予定鉱区にも十分その生息の可能性はうかがえる。  
藤原地区では、その他、ルリハツタケ(Lactarius indigo)、ウロコケシボウズタケ(Tulostoma squamosum)などの貴重種も記録されている。
そもそも準備書に、どこにでもあるタマゴタケごときが、xxxxマイマイやxxxミツバと同列の写真扱いで掲載されているのは、異様であり噴飯ものである。 会社側は、重要種だとはどこにも書いていないと回答していたが、他に碌なものが出なかったことの例証であり、今回の菌類調査の内容の貧しさが推測され、非常に遺憾である。
知られるとおり、蘚苔類、地衣類、菌類は地味ながらも、自然環境の最高の指標生物である。
シカ食害の影響を防止した環境を作った上での、高度な再調査を要望します。

* 今回のアセス準備書には地元研究者の知見が反映されていない。
藤原岳は全国的にも珍しい動植物の宝庫だという事実は事業者もよく認識されているようですが、今回のアセスメント準備書を見るかぎり、その内容には地元の専門家たちの知見や意見がほとんど反映されていないのはどうしたことでしょうか。 例えば、藤原岳自然科学館や、藤原岳自然探査会、みえ菌輪の会などは、多年にわたり藤原岳の生物の生態を調査、研究してきましたが、彼らの貴重な知見はどの部分に反映されていますか? 
地元の専門家は多士済々です。 。

* シカ食害と調査の問題
何度もふれますが、いま、藤原岳もシカによる食害で生態系は惨たる様相を示しています。
今回のアセスは異常な藤原岳の偏った姿しか反映していないという事実を、どれほど関係者らが認識されておられるか大変心配です。 平生でない姿の生態系なのです。 それでも今回の調査では沢山の貴重種がでてきました。 あらためて驚くと同時に、調査の公平さに敬意を表します。
ある面積を数年間、柵で囲い、シカの影響のない環境のもとで生物調査をおこなうべきである。

* 移植の不合理性
当該稀少種の生物が存続さえできたらそれで問題解決かといえば、それは逆転した考えです。  
なぜならば、もともとあった、豊かで比類のない恵まれた自然があってこそ、これらの貴重種が多数生息してこられたのですから、一番大事なのは基礎になる周辺の土、水、空気と生態系全体です。  それらの自然を回復不可能なまでに破壊し尽くしておいて、稀少種のみを移植で保存できても自然環境上、なんの意味もありません。
また、移植や培養種による生態系の攪乱については、いろいろ逆に弊害が指摘されているようですが、その点について会社側は何らの認識ももっていないことは由々しい問題である。 
準備書の最大の弱点は、貴重種の保全にだけ目がゆき、生態系の保全という根本が抜け落ちていることです。

以下、続く


More 続く
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マヤカシと空手形
                                                  (会員・藤原昧々)

本BLOGに掲載されている4つの評価委員会議事録内容を再読してみた。 
じつは平成21年度分としては全部で5回の会合が持たれたが、残念ながら県のサイトから第1,3,4回目の議事内容が消えているのでBLOGへの転載はできなかったようだ。 

門外漢の読後印象で恥ずかしいが、審議委員の先生方はそれぞれ綿密、熱心に発議されており正直頭が下がった。
しかし、読後の胸に残ったものは〈虚しい寂寥感〉だけであった。 
塵埃、騒音、工法など工学的な問題はある程度解決されているのかもしれないが、景観、災害、地下水、生態系の問題ははたしてどうであったか?
結局は問題解決への糸口も実質もなく、ただマヤカシと言葉の空手形だけである。
「貴重種の保全は移植で、イヌワシは林間ギャップの創出によるエサ場作りで解決する」と事業者は言う。 児戯に等しいマヤカシの解決手法としか判断できない。 会社の本心も成功の見込みなど毛頭ないだろう。 アセスの形式を作るだけの方便である。 どうせ行政が「最善の工夫を凝らしてください」あたりでお茶を濁してくれるだろうと見くびっている。 見え透いた魂胆だ。

そして言葉のみが横行する。 すべて裏づけのない空手形の乱発である。 言葉のみ。
曰く、・・・・・ [開発後に試行錯誤で研究し成果を得て実践する。 すでに会社内に成功例の実績を保有している。 挿し木、取り木、組織培養、播種といった方法を考えています。 順応的管理を行い、色々な方策を今後も考えていきます。 安易な移植は考えていません。 移植に関しては有識者の意見に基づき行います。 万が一上手くいかなかった場合でも、上手くいく方法を模索していきます。 より正確に把握できる手法を、専門家の意見を踏まえ反映し検討したい。 最終的には、緑化を行い完結する方針である。](すべて委員会回答)

「検討」と、「やります」、「やります」 の回答。   
実質がなく、アテのない見込みの言葉だけの約束。 誰も成功も実行完遂もあてにしていないし嘘だと知っている。 
秩父の武甲山を見てきた会員が衝撃をうけて語っていた。 何もしていないと。
そして、アセスという開発への通過儀礼の上に築かれた論議と会合の山。
会社がきちんとやりますと回答する以上、県も先生方の誰もが手の打ちようがないのだろう。 先生方が紳士的でお人好しなのか? もともと性善説にたつようにアセスの仕組みができているのだろうか? 
いったい、利潤追求、株主配当を使命とする企業が本業でない緑化・復元に言葉どおりに注力するのだろうか。 太平洋セメントは前身を含め、すでに80年間この山を掘り続けてきたが、藤原岳のどこで緑の復元がなされているのか? 多志田の谷を荒れるにまかせ、東の三角斜面は御覧のとおりの禿げ山のままだ。  信用を重んじる企業ならば、現在の裸地をすでに緑化した実績の上にたって代替措置の提案をするはずだ。
日本の一部上場企業の平均存続年数がどれほどかご存知だろうか? 特に今は激動の日本。  仮に会社が存続しても50年も経てば、企業の内容も陣容も理念もまったく変わっている。 企業の収益に反するだけの緑化事業を50年先にどこまで真剣にやってくれるのか。 掘れるだけ掘ってあとは資金不足の理由などで放置しはしまいか。 残念ながらこれまでの採掘会社、産廃会社(太平洋セメントの実態もそう)はどこでもそうだった。 石原産業然り。 近くの白石鉱山の跡はどうか。 工場施設は何十年も放置されたまま錆びた有刺鉄線とツタが這いまわり、荒れるがままにされ、昨年もPCB流出による土壌汚染で大問題になった。 資源搾取産業の社会的信用はまだ高くはない。
企業の社会的信用は長年にわたる個々の誠意ある現場実践の総体として現れる。 緑化の実績が何もないまま「やります」の空手形を乱発する相手は大会社といえども要警戒なのだ。 学者の先生方は紳士的だからか事業者の言質を取るまではしない。 殴られながら握手をする聖人のようだ。 
第三者委員会がせっかく勧告や答申を出しても、企業が「あの方はもう関係のない過去の人ですから」と、無視、不問に処す実例が最近もあった(九州電力)。 どうして緑化の現状を追求し、緑化事業資金の予算を問い、その預託などを考えないのだろう?  アセスの趣旨を逸脱するからか?
審議記録を読むと、言葉の空手形が交錯する議事進行に驚く。 ・・・ 虚しい。 

こんな文の一節が記憶に残っている。
最後の川が汚染され、最後の魚が獲られたとき、初めて、我々は《お金を食べて生きていけない》ことに気づくのです。」 
                                                       (藤原昧々)


〈付録〉  評価委員会における事業者側回答の抜粋

☆ 今後は失敗事例の経験を活かしまして、土のことを考えて植栽をします。 
☆ 順応的管理を行い、色々な方策を今後も考えていきます。
☆ 今回の事業でも、移植地まで道路をつけて車で移動し、移植が上手くいっているのかを確認するための事後のモニタリングを行っていきます。
☆ はい、フィードバックするような計画になっています。 植物の種類によっては、25 年後に消失する種もあります。 そのような種については、25年間試す期間があります。 25 年間に何度 も移植を試し、成功するように努力していきます。
☆ 事業者の研究施設で、組織培養を行いますので、種の保存だけは図られます。 生育地はなくなりますが、この種の遺伝子自体がなくなるわけではありません。
☆ 準備書p599 で重要種については、移植だけではなくて、例えばアサダ、xxxミツバについては挿し木、取り木、組織培養、ハイイヌガヤ、チャボガヤ等については挿し木、取り木、播種といっ た方法を考えています。
☆ 林冠ギャップを作る場所の植生で、低地に草がないのは鹿の食害が原因ではないと思います。 その地域全体が木で覆われていまして、日が当たらない状況が理由だと思います。
☆ 事後調査については、評価書を提出しなければ出来ませんので、評価書を提出の後、調査を行います。 事後調査を行えば、1 年ごとに報告書を提出します。 結果の閲覧、公表も行われます。
☆ 野ウサギ以外の餌となる動物について、伐採をすれば、林縁や下層植生の発達が期待され、野ウサギ以外の動植物にとっても多様な生息・生育環境になることが考えられます。
☆ 検討します。
☆ アンケート調査については、検討します。
☆ ヒメニラについては、5~10 年後に改変され、それまでに色々な実験を行い取り木であった り、挿し木であったり、組織培養等の実験をして、より良い方策を試します。 安易な移植は考え ていません。
☆ 今後、事後調査においてキノコ、地衣生態類についても調査をしていきます。
☆ 種まで特定できない場合、重要種として取り扱えないので、記載していません。
☆ 事業の進捗に応じて、移植を行っていきます。 50 年をかけて、改変が行われますので対策をとっていくこととなります。 それをしながらモニタリングをしていきます。 移植に関しては、 有識者の意見に基づき行います。 万が一上手くいかなかった場合でも、上手くいく方法を模索し ていきます。
☆ 次の開発事業区域は、土石流発生区域に近いので、行政と連携して配慮していきたい。
☆ 後世に残せれるように、移植が有効であれば検討したいと思っているし、他地区の事業では、保護植物園のようなものを作ったり、バイオテクノロジーにより培養したりしているので検討したい。
☆ 緑化については、将来の計画については未決定なので、現時点では緑化したところが改変されることもある。 可能な箇所は実施していきたい。 埼玉県の採掘跡地では、緑化している。 基本 的には石灰石の採掘が終了したところについては、緑化することにしている。
☆ 現在採掘している箇所で、鍾乳洞が発見され事業が中止された事例は把握していないが周辺部については大規模なものが確認された事例はあったかと思う。
☆ 土石流が起こっているという認識はしていないので、確認したいと思っています。
☆ 食害がある現況で、より正確に把握できる手法を、専門家の意見を踏まえ反映し検討したい。
☆ 現時点では、(開発をいつか完結するか否か)どちらの可能性もあるが、最終的には、緑化を行い完結する方針である。
☆ 表土の部分の場所が、一番養分が多いと思う。 採掘部分がレベルダウンするごとに表土の部分が必ず地山との境界に出てくる。 使えるものは使っていく考えである。
☆ クロマツは過去に試行錯誤的に植えたとものである。
☆ 荒涼とした景観の観点からも考え、今日見て頂いた断壁は20m ごとに小段を作っており、1段当たりの高さが高い。次の場所は20mを10mにして小段を作るなど工夫してやっていきたい。

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第三回評価委員会 傍聴記                          (会員 M)       2011.12.20 記 
                               
2011年12月15日(木) 13:30~15 :00   
会場:津市水産会館3階

結論ありきの「アワセ(合わせ)メント」となるのか?
このままでは開発への免罪符となる手打ち会合で終わりかねない。
                           

日本のアセス法制定の歴史は経済先進諸国中で最後進国にあたる(OECD加盟29ヶ国中29番目)といわれるが、その日本でも三重県はさらに最後進県となるのだろうか?    
今回の評価委員会は、締めくくりの会合にしてはあまりにも低調であり、なにより異様ずくめの内容であった。

〈会の経過のあらまし〉 
委員20名中、出席者は14名。 委員の主な発言は実質4名のみ。 発言がアセスの趣旨から逸脱していると審議の進行を正そうとされた副会長と会長の発言をのぞいて、多くの委員は他部門への遠慮なのか沈黙を守り、一部の人の発言に終始する寂しく低調な会合であった。 専門外でも「常識」で感じる素朴な疑問は有識者の沽券に関わるのか、誰からも出なかった。 オリンパスや大王製紙の暴走を傍観した内部幹部たちと似ている。 専門外でもおかしいのはおかしいと誰も発言しない「まるで不思議の国のアリスだ」(ウッドフォード元社長)。
感想と私見を記す前に、聴きとれた主要な発言の内容を以下に略記する。
まず、去る11月19日に県の桑名支庁舎で開催された住民聴取会での6名の住民意見の概要が県担当者から報告された。 残念だが、これは「聴きおく」だけで終わるのがアセスの通例のようだ。
次いで、前回質問があった鈴鹿国定公園の区域決定の経緯に対して県職員から説明があり、あの藤原岳周辺の奇妙なギザギザ線は、昭和の30年代に自然公園法により、民間会社の所有権、財産権、鉱山権などへの配慮と尊重にもとづき設定されたものであるとの回答があった。
現今、各地の自治体や自然保護団体などから強い改正の要望がある、あの旧態依然の鉱山法の横暴と現自然公園法の無力をあらためて痛感させられる。
次に事業者側からの補足の意見説明があり、前回に問題になった植物の最貴重種については全部を移植の方法で対処すること、xxxxマイマイは実験後に移植場所の選定をして移植し事後はモニターをおこなって適切に管理していく、といった発言があった。 「繁殖不可能」(陸貝担当委員)への事業者側からの挑戦だ。
評価委員の発言に移り、最初の委員からは、濃尾平野など他県の住民にとってハゲ山の藤原岳の景観は自然破壊そのままの不快な景観としか眼に映らない。 緑の復元および、人工景観と自然景観のバランスの必要性などが述べられた。
次の水質関係の委員は、アセスにおける地下水脈の調査の不備と土石流災害の危険への懸念が述べられ、さらに、委員の発言の審査結果への反映のあり方、委員の責任、本委員会の存在意義などのそもそもにまで言及がなされたが、これは会の紛糾を招きかねない発言といえるかもしれない。 
同委員の発言の主意を私なりに言いかえれば、個々の専門委員がいくら災害や自然破壊、生物・植物絶滅の危険に言及してもその意見の反映の保証もなく、委員会には責任もなく実行を監督する権限もないのでは、何のために会に出席し、何のためのアセスであり環境影響評価委員会なのか、という自問と会の在り方に向けた根本的疑問であろう。
次の発言者は森林関係の委員で、移植の為の事前の調査内容や基礎データが準備書に盛りこまれていないかぎり委員会は評価の判断ができないのではないか、と述べた。 至極もっともである。
上記の発言者の後に、再度、先ほどの水質関係の委員が口を開き、多志田渓谷の実態の調査がない、住民からのヒアリングがないのは根本的な不備、水流には表流水と岩盤の地下水があり後者の実態が不明では災害予測が不可能、尾根を削れば地形が変化し雨水の流れも変化して土石流の発生に影響を及ぼす、などの発言が続いた。 災害発生の危険に関連する重大な発言で、先ほどの専門家としての責任云々の一見唐突な発言も、鈴鹿の山で近年多発する自然災害の崩壊現場を多数歩いて見ている私には十分に理解できるのだ。 イヌワシ営巣が仮になくなり治田鉱区の開発が進めば多志田川の氾濫は不可避であり、山頂鉱区は麓から谷を見上げれば素人でも土石流の災害が眼に見えている。 しかし委員会は危険をよそ事にひたすら日程消化のレールを走っている。
議事進行役の副会長が、彼の長い発言に対して会の役割と趣旨から逸脱していないかとのセーブあるいは牽制の注意を促し、会長の同意をただす場面もあった。 委員会の中にはアセスの未経験者もおられ、アセスの流れ、趣旨、目的などに沿わない、発言の逸脱と混乱が傍聴中みられたのは事実で、前回の会合でも委員の個人的心情の吐露などが多くあり首をかしげると同時に県の委員人選への疑問を感じた。    ところで、委員の人選への別の疑問をこの際、附記する。 昨年の委員入替えで環境保全に厳しいベテランの委員が多く去ったし、藤原岳の自然環境影響評価をする会合というのに、三重県のレッドデータ・ブック作成に努力をされた中心関係者があまり選任されていない。 初めに結果ありき、の「アワセメント」 ...    

次に、植物関係の委員は、前回の発言の趣旨を再度強調されて、生物への影響について最大限の論議の必要があること、移植の適切性を事業開始前に確認するべきこと、移植に失敗すれば後には何も残らないことになる、などの発言をされた。 事業者の回答も前回発言と同様で、実際に表土を削るのは10年後であり、その間に開発工事と平行して十分に移植を実験し適切に実施していく、というものであった。
もし万一、移植が不成功だったならばどうするのか、の同委員の質問に対して、今回(明白には)初めて、事業者側(コンサル会社)の一員の口から、現に移植の成功例はいくつかグループ企業内に保持しており、成功には絶対(科学の見地上100%とは言えないがほぼ近く)の自信がある、との断定的表明がなされた。 その大見得ぶりの鮮烈さは傍聴者の私には衝撃的であった。 そこまで言うか! 
追い打ちをかけるように、事業者側から、移植については方法書段階で述べており論議済みの件(?)を現在の評価段階で蒸し返すのはおかしい、といった手続き上の反論が表明された。 進行役の会長から同調に近い感想が述べられたのかどうか、聴きとりずらく不明であった。 
次に、生物関係の委員がxxxxマイマイを再度とりあげ、移植は不可能、生息区域内の実態をまず知る必要がある、何を指して事業者の言う「定着」を定義するのか?  条例からみて実験は可能か、県は実験を認可できるのか、条例の見直しは、などの疑問がだされた。
本会の最後の発言者は、県の職員側(環境課ではない)の一人だった。 公開の場で県担当の方が、本来はあるべきことなのだが、評価委員会のなかで事業者に事務的でない質問をすることはほんとうに珍しい。 環境課の職員なら担当部門だけにさまざまな疑問と責任をもつはずだが、事業者には直接内々に質しているのであろうか。 不思議だ。 質疑のやりとりが県民に公開される場で積極的になされなければ、県は県民から信頼されないであろう。 
彼の質問の要旨は、稀少種の移植を論議するためには、その生態系をもふくめないと不備なのではないか、事後調査は誰(どの部門)が行いどのようになされるのか(責任主体と継続性)、であった。 
事業者側からは、生態系の件には意味不明の回答、事後調査の件はアセスを担当したコンサルタント会社が引き続き責任をもって継続する、との回答であった。
以上をもって、他委員からは特別の質問や発言も出ず、予定時間を1時間以上も余して散会した。

以下、問題点への私見、感想を列記したい。(Moreをクリック)


More 続く
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第二回評価委員会 傍聴記
                                          (会員 M)     2011.10.14 記
平成23年度 第二回三重県環境影響評価委員会
10月13日(木) 13:30~16:30   会場:津市JA会館3階
傍聴者8名、うち数名は野鳥関係者、1名はアセス関係会社社員。

今回の審議内容を象徴する生物は三つ、xxxミツバ(植物)、イヌワシ(猛禽類)、xxxxマイマイ(陸貝)であっただろう。 論点は二つ、移植と林間ギャップ。 その論議の背後にある立場の相違は、採掘前の調査・検討を主張する委員側と、採掘を前提とする事後対策の方策を検討したい事業者側とのいわば前か後かの対立であった。
即ち、業者側の本音は、まず開発行為ありき、で、付随する補償措置は同時的ないしは後で講じていくことになり、発生してくる諸問題の解決をどうするかが課題になる。  
その結果が移植行為の試みであり林間ギャップの創出である。 委員から問い詰められれば「そんな方法ではダメだと言うならば、委員さんの方から専門的な良い方法をアドバイスしてくださいよ」という居直りにちかい答弁が本音になる。
審議では、林間ギャップはその効果への疑問とともに、少なからぬ規模の環境の改変になるので、周辺への影響の大きさゆえに本アセスの趣旨からも否定される方向の論議となった。
次の移植の方策は、実験と検証は小規模でやれる可能性があるので検討の余地はあるが、採掘との同時進行は許されず、やるならば開発に先行して最低でも数年、あるいは10年はかけて実験しその結果を見てから採掘を判断するべきだとの意見が続出した。

今回の会の雰囲気を決定し支配したのは、審議の冒頭に、県自然環境室副室長の唐突ともいえる次の指摘であった。 すなわち、発見されたxxxxマイマイは、三重県保護観察指針に掲載されている種に該当し、生体の採取は厳に禁止されている。 ただし例外として、研究や繁殖・保護の目的でなら特別に許可される、と。  つまり、逆に言えば、その生物が繁殖上、生息可能な別の場所と方法が見つからなければ業者側は移植の目的ででも採取ができないことになる。 
この水戸黄門の印籠的指摘は、業者側にとっては、今後へのそうとう厳しい課題と桎梏となってのし掛かり、当日の苦しい答弁を予想させる暗雲となった。 
鉱山会社への開発阻止運動は茨の道だろうと覚悟していたが、今日の意想外の展開を傍聴するかぎり、業者側の開発企図も茨の道ではないか、と思えてきた。  第一回の委員会をともに傍聴したY氏が、「今後はイヌワシ大権現からxxxx大明神が最大の論点になるぞ」と意気込んでいたことが、まさに事実となって現れたのだ。

林間ギャップの件  
鉱区予定地とは別の箇所に樹木を伐採して、イヌワシのエサとなるノウサギの繁殖場となる高原状の場所を創出するという業者側発想の補償措置である。 
委員からの指摘をざっと列挙すると以下のとおり。 
新たな環境破壊をまねく。 場当たり的な対応。 まず開発ありきの発想。 ウサギ以外のヘビ類のエサ調査が不足。 この方法が補償措置として最良だとは決まっていない。 など

移植の件
委員の主な指摘は以下のとおり。 
稀少生物は一度絶えると二度と同じには回復しない。 採鉱期間が50年なのだから、まず数年間の移植実験期間を経てからでも良いのでは。
後者に対する業者側の回答は、最初は地下の予備工事からとりかかり、地表での実質採掘開始は5年後からなので、バイオの研究は同時進行が可能である、というものであった。 
それに対して委員からは、方法が組織培養、種子保存のいずれにしろ生育地そのものが消滅するのだから無意味だとする見解が出された。

審議の経過を、以下、筆記したノートからざっと報告するが、各処の重複はご寛恕を請う。
前回は、風塵、騒音、地形、土木など会社側の本業であり、お手の物の分野から審議が始まったが、今回は順番が逆になり、植物 昆虫 野鳥 陸貝 と深刻な被害が予想される生物分野から委員の発言がなされることとなり、最初から踏みこんだ指摘が委員たちから出され以後の審議のボルテージ上昇に少なからぬ影響を与えた。

最初の植物担当の委員からは、シカ食害への対応の必要性と、林間ギャップ手法への率直な疑問が出され、つぎの委員からは、同じく、移植や培養への根底的な疑問、開発以前に数年かけて実験する必要性などが提案され、一方、坑内採掘の可能性への質問があった。 後者の坑内採掘は当然ながら業者側からコストの点でニベもなく否定されたが、その質問によって、自然環境よりも利潤追求を重視する会社の宿命的体質をはからずも引き出して全委員を鼻白ませ、以後の委員の発言に自然環境評価という委員会本来の趣旨への回帰と意欲を促す効果があった。 次に、ご専門ゆえか前回も業者側に移植の方法のアドバイスをした異色(移植)の委員が、今回は、組織培養よりも種子保存が良いと、木を見て森を見ない的発言をされた。 

つづく昆虫関係の委員二名からは、稀少種よりも種の多様性や微小種・未記載種の重視への視点の転換、移植試験の開発前実施の必要性が縷々説かれ、やはり林間ギャップ手法への否定の発言があった。 微小種・未記載種の重視にはまったく同感である。 私も提出した住民意見書の中で、既知種、同定確定種のみのアセスの記載手法では、現場の生物相の実態を正確に反映しておらず、キノコ類の調査は不充分ではないか、と述べた。 キノコのように分類が特に進んでいない分野では、藤原岳のように未知の種が多い地ほど、より魅力のある環境だとも言えるからだ。
猛禽類専攻の委員からは、イヌワシに関連して、ついに「それを言ってはお終いよ」の、開発中止を求める要望が出された。 技術の未確立な林間ギャップ手法の否定、人工的なエサ提供の矛盾、おまけとして、全国的な問題解決に対する業者側の技術研究への時間と投資への要望があった。 この「中止」の言葉は、次の委員の油に火を放つかたちになった。

次の委員は、標本を持ちこんでの、xxxxマイマイでの追求。 大明神の神輿を担ぐ僧兵の勢いだ。  
県の条例指定の生物への影響の重大さ、法律違反を問われかねない行為だなどと、激越な指摘の連続。
曰く、移植成功例は皆無、同一種内でも個体の多様性あり、同時進行での試験など論外、陸貝類は一般に10年単位の事前調査が必要との指摘。 返す刀の切っ先は県の担当者に及び、保護施策徹底への要望や叱咤の発言はまさに環境評価委員の聖職に恥じぬ鑑であった。  

供覧に付されたxxxxマイマイの標本は、幸い傍聴者にも回覧された。 私は図鑑やネットでは目にしていたが、実物の標本は初めてで、背中の盛り上がりが全く異なる個体数個が納められた実物をじっくりと拝見できた。 その透明でうすい鼈甲色をした、いぶし銀ならぬ燻し金の、物言いたげな色彩美に、私はため息をついた。 それはまさに、藤原岳がまとう緑と花々の衣装の裏側に鏤められてひっそり息づく命ある宝石である。 セメント幾万トンの価値をも凌駕すると断言したいほどの小柄で寡黙な貴婦人の姿であった。
次の委員の語り口は、前委員の動から静へと一転して、「森が枯れれば海が死ぬ」の含蓄ある箴言から始まり、将来予測の不可能性や現世の無常などを諄々と説かれて、業者側の開発行為の傲慢さをいましめるかの説法で終わり、会場内は粛然として声なし、の様であった。

この後は、委員の専攻分野が、大気、気象、地下水、地形学、騒音評価などに移り、私の筆記記録も途端にわびしくなってきた。 内容も前回の委員会と重複するようでもあり、興味も遠のいたが、二三、注目した発言を以下に記したい。
尾根が削られ消えると、大気の流れ、日射の具合、雨の降り方が大きく変化する。 予測変化は簡単な計算で可能なので是非やって欲しい。
鈴鹿国定公園の境界、線引きの問題。  滋賀県側は、きれいに山の全部が公園に入れてあるのに、何故に三重県側は複雑怪奇なぐねぐね線が引かれているのか。 貴重な植物の宝庫である美しい土地なのにわざわざ公園からはずしてある。 鉱山は何故はずしてあるのか? といった意地悪な質問で、溜飲が下がる。 県の回答は、公園は国が指定し、現在は県が管理している。 国の境界指定の経緯については調査する、であった。 (理由は、鉱山法は公園法に優先するからであろう。 50年先にはおそらく逆転しているだろうが。)
種が残るということは、その場で残るという意味だ。 だから移植を論議する前に、この開発事業を認めるか否かの決定がすじ。 業者側は、もし妥協するならば、ある部分は中止にし、ある部分はトンネル鉱法でやるべき。 世の中、50年前は寒冷化対策を論じていたのに現在は温暖化対策が問題になっているように、今後50年先の自然観も確実に変化する。 本委員会の趣旨と逸脱するが心情としては開発中止を論議の中心にしたいほどである。                        以上 
                                                
会の進行も閉会時間に近くなってきたが、各委員の発言は時として原則論、心境吐露に傾いてきて事業者側は回答不能になり審議の中断が多くなった。  そして予定時間となり、三名ほどの委員の発言を残して会は終了した。 うちの一名は、前回会合で、人間とコンクリートとの芸術的調和を説いて業者側の顔をほころばせた方である。

総じて第一回は踏みこみ不足、第二回は委員が心情に流れて本来の学術的追求が不足する印象が残った。  例えば、「組織培養は保全の役に立つどころかむしろ悪影響を及ぼし、組織培養由来個体の抜き取りに苦労する事例(愛知県豊明市のナガバノイシモチソウ)があると旧委員の一人は指摘されておられるが、その種の具体的な質問や提案が委員の口からもっと聞きたかった。  
希望的心情を個人的にいくら語っても、あるべき環境へ向けての専門学的評価には結びつかず、アセスメントの本来の目的から遠ざかるのではないだろうか。   
                                         
(本委員会の議事内容は、当BLOG 〈アセス県評価委員会審議内容〉に掲載されています。 三重県環境森林部自然環境室の下記HPでも閲覧や印刷・コピーができます。)
http://www.pref.mie.lg.jp/SINGI/201112018521.pdf

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その1 (会員 S)             2011.8.25

〔意見〕
① 治田鉱区は事業延期区域ではなく、中止にしていただきたい。 
その理由は県内で最後のイヌワシ親子個体であり最重要地としての文化的経済的価値があるからです。

② イヌワシの餌となる動物調査が不足しています。
その理由は、爬虫類リストに、カナヘビ、アオダイショウ、シマヘビ、シロマダラ、ヤモリ、イシガメが準備書に未記載だからですし、特にアオダイショウについては個体数を主とした分布及び生態調査が必要です。

③ 多志田谷や新町谷で有名なカジカガエルが記載されていない理由はどうしてですか? また、オオサンショウウオについては、昨年も東禅寺地内で死亡個体発見騒動がありましたが未確認に終わりました。 しかし、20~30年前には東禅寺の住民が30cm程の個体を目撃しています。 
地元住民を尊重した聞き込みが必要ではありませんか。

④ 多志田の鉱泉について、地元の聞き込み不十分と思います。
治田区域の上部に冬の積雪期においても「ユゲ」が上がっていて雪が積もらない場所があるという。この下には竪穴(洞窟)があると専門家は言います。是非とも調査をしてください。(温泉資源の侵害は鉱山法に抵触し違法です)

⑤ 藤原町には「藤原岳自然科学館運営委員会」や、キノコ専門の観察グループである「みえ・菌輪の会」があります。 連携を密にして調査を充実させていただきたい。

⑥ 昆虫リストで、ヒサマツミドリシジミ、ウスバシロチョウ、スジボソヤマキチョウ、ムカシトンボ、ムカシヤンマ、ハルゼミ、エゾハルゼミ、エゾゼミ、チッチゼミ、ニシキキンカメムシの生息確認はどうでしたか?

⑦ 魚のハリヨが未記載と思いますが、東禅寺の〈まちかど博物館〉「さかな館」の館長に確かめて下さい。

⑧ イヌワシの餌を確保するための林間ギャップは生態系の破壊になり、結果的に稀少種の減少となります。 それよりもノウサギやアオダイショウが増加する環境をつくるべきだと思います。

⑨「藤原鉱山残壁研究会」の記録を公開して下さい。

⑩ 鉱山の残壁緑化は、先ずコケ類から進めるべきだと思います。

⑪ 多志田川の全地域を対象に、表流水の回復をさせていただかないと、農業用水や生活用水が不足していますのでよろしくお願いします。市や県には強く要望しています。

⑫ 平成22年1月15日の事業者見解では、害獣についてはすぐ対応するとの事でしたが、未だに「ナシノツブテ」であります。 特に東禅寺としては困っていますので早々に関係者と要望に伺いますので、誠心誠意の対応をして下さるようお願いします。

⑬ 事業者を取りまく地域状況も変化しつつあり、人口に関する経済環境も考え、ペティ=クラークの法則についても十二分な配慮をしていただきたい。
 


その2  (会員 Y)                2011.8.25

〔意見〕
① 多志田谷のズリのたれ流しの件
先日、8月初め多志田谷に入った。 途中15分ほどのにわか雨にあった。 岩の下で雨宿りしたが10分程で左側孫太尾根側と右側頂上三角点方面からのたれ流しのズリの間から濁流が流れだし、本流もあっという間に茶色の水へと変化した。 大きな危険を感じた。 このような現状を無視して、よくぞ準備書はきれいごとが言えたものだ。

② 大貝戸の土石流に関わる件
これも同じく多志田に入ったその直後の事であった。 植物の確認も含めて山頂鉱区の北斜面に入った。 下部では大貝戸方面への土石流対策のため、多くの堰堤が作られている。 崩れは工事区のalt.800mあたりまで延びていて今も小さな崩壊が続いている。 800mから頂上三角点1009.6mあたりの斜面では、シカが走るたびに大きな落石がある。 こちらも大変危険な状態であった。 ここを発破をかけて崩していくというのだからとんでもない話である。

③ 貴重植物について
全国的にも貴重なxxxミツバ(絶滅危惧1B類(EN))は、まさに工事区のまっただ中に存在する。 本州中部以西、四国の石灰岩地帯にまれに点在する(九州では現在確認されていない)。 何千万年とかけて石灰岩地域のそれも特殊な場所に適応して生き残ったものが簡単に移植して生育できるわけがない。 少なくとも藤原岳の他地域に移植して10年以上個体数の減少なくして生き残ったら成功といえるだろうが、そのような場所はきっと存在しないであろう。 「組織培養」ばかり何故か強調されているが、仮に実験室の中で生存させ続けてもそのようなものに生態上の意義はない。
さらには、ヒメニラを始め、三重県では超貴重な植物が初記録されている。 即刻の事業中止を望む。

④ 貴重動物xxxxマイマイについて
三重県指定稀少野生動物種20種に指定されている「xxxxマイマイ」。 三重県自然環境保全条例に基づき、触れることもできない「xxxxマイマイ」。 藤原岳東側の石灰岩地帯にのみ分布する、全国には分布しない三重県特産種である。
発表されたプロットを見ると工事区に生息が集中している。 予定通り工事が進めば絶滅の可能性が出てくる。これに対しても「移植」という言葉が使われた。 移植が可能かどうか? これもxxxミツバと同様である。 
準備書p.635で、「生態の詳細は不明である」と記述されている。 生態が不明なのにどうして移植が可能なのか。 とんでもない適当なごまかしを言っているではないか。 プロットは山頂鉱区で10個、治田鉱区では18個近くにも及ぶ。

⑤ 景観および、その他
以前に大変問題となった秩父・武甲山1304m(以前1336m)と同様の風貌を呈してきた。
9月初め、埼玉秩父・武甲山と武甲山資料館に視察に行き、いろいろ現地の話を聞いてきた。 武甲山では、秩父市教育委員会の中に「武甲山植物群保護対策推進協議会」の事務局が置かれていた。 変わりゆく故郷の武甲山の姿を子ども達に描かせていた。
藤原岳を第二の武甲山にはさせないよう、地元および県で取り組んでいく必要があると思う。




その3  (会員 I)             2011.8.25

(意見)
藤原岳一帯は日本海や太平洋、北方、南方、それぞれを特徴づける植物や石灰岩特有の植物が混生し生育する重要な地域である。 工法の如何を問わず山頂鉱区が最終的にはalt.600mまで採石され掘り下げられること、治田鉱区が一時的な採石停止とはいえ再開の可能性が大きいことについては、持続可能な開発が重視される中、自然の保護・保全をし、開発の中止を主張します。 以下はその理由。

☆ クロヒナスゲ(三重県RDB掲載種)、チョウセンキンミズヒキ(三重県RDB作成後発見、レッド級)、イブキトボシガラ、チョウジザクラなど、アセスにリストアップされていないものがあり、再調査と環境影響評価を要望します。

☆ ヒメニラ(三重県RDB作成後発見、レッド級)、xxxミツバ、イワウメヅル(三重県RDB後発見、レッド級)は鉱区だけに生育する極めて重要な種である。 また、キンキマメザクラ、アサダの絶滅やイワザクラについても大きな影響を及ぼすと言えます。 現存種による緑化や貴重種の移植対策を計画しているようですが、微妙な環境を選んで生育してきなものが活着・回復することは不可能に近い。

☆ 現在の山肌露出景観の見苦しさだけでなく、多志田谷への土砂礫流出及び河床の上昇には目に余るものがあります。 このことにより、すでに絶滅したり、絶滅に瀕している種がある。 これはまさに人災に他ならない。 もし仮に新たに開発するにしても、現在の惨状を回復し、植生回復能力を証明してからにするべきである。
調整池の設置が計画されているようですが、近年の集中豪雨の多発傾向、森林の湧水調節能力の消滅や水の濁りに対する対策は考えられているのであろうか極めて疑問です。
唯一100%近くを供給できる石灰岩であることは承知していますが、是非、自然破壊を伴う開発行為については中止を切にお願いしたい。



その4  (会員 M)        2011.8.25

〔意見〕
長年、鈴鹿山系の登山に親しみ、同時に植物・キノコの初歩を学んでいる一登山者として、意見を申しあげます。
準備書からうかがえる〈菌類〉調査結果は内容が不十分、不適切です。
藤原岳周辺の菌類調査と研究は、過去、故吉見昭一氏の指導のもとに十数年間断続的に行われてきて、石灰岩質の山における菌類の特殊性と豊富な未知菌類の存在予測はえられたものの、その実態解明と種特定作業は十分に進んだとは言えません。 そもそも日本の特に山岳における菌類の研究は、まだ手つかずの段階であり、今回のアセス会社の調査でも、膨大な数のキノコが、おそらく属の段階まで推定できても種の特定にまではたどりつけなかったり、また地下生菌、冬虫夏草など多数の見落としがあったはずです。 準備書では今回、不明種をむしろ丁寧、率直に記録するべきでありました。  また、解明には、きわめて高度な専門家たちによる腰をすえた再調査が必要でしょう。
筆者らは、同じ石灰岩質の隣の御池岳で珍しい菌類2種を発見し、後に新産種タネミケシボウズタケ(Tulostoma fulvellum)および世界的稀産種のスゴモリダンゴタケ(Bovista ochrotricha)と命名・記載され学会誌に紹介されましたが、両種ともまだ国内の他の箇所からの発見はないという超希少種であり、地質からみて、今回の予定鉱区にも十分その生息の可能性はうかがえるのです。
藤原岳は故吉見先生が驚嘆された、菌類とくに腹菌類貴重種の宝庫である。  ところが準備書には、ありふれたタマゴタケごときが、xxxxマイマイやxxxミツバと同列の貴重種扱いで選ばれている(?)のは、準備書の学的水準として異様であり、不思議です。 
いかに、菌類調査がなおざりにされたかが証明されます。

藤原岳は全国的にも珍しい動植物の宝庫だという事実は事業者もよく認識されているようですが、今回のアセスメント準備書を見るかぎり、その内容には地元の専門家たちの知見や意見がまったく反映されていないのはどうしたことでしょうか。 例えば、藤原岳自然科学館や、藤原岳自然探査会、みえ菌輪の会などは、長年にわたり藤原岳の生物の生態を調査、研究してきましたが、彼らの貴重な知見はどの部分に反映されましたか?  アセス指導に一部係わられた方もおられるようですが、代々の委員の専門家は多士済々です。 せっかくの地元の知見の山が生かされておりません。

つぎに、いま、藤原岳もシカによる食害で生態系は惨たる様相を示しています。
今回のアセスは異常な藤原岳の姿しか反映していないという事実を、どれほど関係者らが認識されておられるか大変心配です。 平生でない姿の生態系なのです。 それでも調査では沢山の貴重種がでてきました。 驚くと同時に敬意を表します。
まずシカの問題を解決し(J.ニコルソンは食肉への利用を薦め、廃棄の現状に怒っている)、そのうえで再調査をするべきです。 

次の問題点は、対策としての「移植」の問題である。  いったい、稀少な生物とは、気の遠くなるような地球の年月をかけて、自分に最適の環境を生物が求めつづけ、やっと選びに選らんだ究極の場だけに生息するに至ったからこそ稀少種なのであり、また、移植で確実に新たな環境に適応し子孫を残していける安易なものならば「希少種」となるはずがない、という素人の私でも理解している基本的真実をどう把握されているのか? 
そもそもイヌワシやxxxミツバなどの個体を支える精妙な自然こそ残すべき遺産です。 発想が逆転している。 
今回、xxxミツバやxxxxマイマイが移植で生息可能とするならば、事後着手と結果モニターではなく、まず事前に移植試験をしてその結果をもって堂々と返答していただきたい。 開発してから、計画どおりにならず済みませんでした、ではアセスメントをやる意味はまったくない。 
イヌワシ対策に、野ウサギ繁殖用の草原を創出するというが、広範な樹林を伐採すれば、おなじく貴重な下部植物は絶滅してしまい周辺にも深刻な環境悪化が及び、その損失ははかりしれない。 そんな当たり前な事実にすら思いがいかないのであろうか。

緑化と復元をうたっていたが、私がまず要望することは、すでに裸地化し荒廃しきった多志田渓谷斜面と藤原岳東面のうち、可能な部分をできるかぎり緑化、復元することである。 その工事への投資と実行、結果検証を経ぬままで、新たな鉱区の開発で失う自然を緑化で修復しますという回答には納得しきれない。
さらに提言したいことは、会社の返答にある緑化と復元の言質の担保である。
企業の消長は激しく、ことに同セメント会社の歴史は合同合併に明け暮れた歴史と断定してもよい。 また産廃会社が自ら後始末をきちんとしてきた例はまず見られず、企業の内容も陣容も理念も50年間ですっかり変化します。 口約束ではなく、例えばいなべ市に緑化基金を毎年積み立てをするなどの資金的な担保が必要です。 同企業を信用しないのではなく、信用を尊ぶ企業ならば自らそこまで配慮と確約を示すはずです。

以上、私見を総合して3つの点を指摘し、その検討と着手、実施を要望する。
① シカ対策後に植生と菌類の再調査をする。 地元の専門家の知見を活用。
② 移植が可能なのか、事前実験と検証が必要
③ すでに裸地化した土地の大半の緑化と復元、今後の緑化事業の資金の確立
環境保全にかかわる以上の3点をクリアするまで、今回の鉱区拡張計画を急がないように要望します。

最後に、自然災害の頻発する昨今、藤原岳の土砂災害は本当に大丈夫ですか









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イヌワシ・カモシカ・オオサンショウウオのこと
                 (会員 S  自然公園指導員・自然観察指導員三重連絡会)  
                 平成24年1月10日発行 「三重のニュースレター」第87号に掲載
                                

 私は地元のものとして藤原鉱山次期開発事業問題に関わっていますが、一般的に地域住民および行政の職員、学校の先生も含めて自然保護に対する意識は低く、イヌワシ、カモシカ、オオサンショウウオといった国の天然記念物の事についても関心が薄いのが現実です。
 さて地元に生活するものの1人として、環境影響評価方法書に提出した意見と事業者の見解を抜粋し述べます。

〔住民の意見〕
 多志田川に生息していた、特別天然記念物のオオサンショウウオがどうなったのか? ハコネサンショウウオ、ヒダサンショウウオが今でも生息しているか調査はしているのか?
〔事業者の見解〕
 オオサンショウウオについては有識者への聞き取りによると確認されたのは1個体のみで、以後、成体、幼体とも確認されていないことから、誰かの放流であると推測されます。 その他のサンショウウオ類については両生類、水生生物調査において調査を実施する予定です。

〔住民の意見〕
 東藤原地域は、特に現在もそうであるが、サル、シカ、イノシシの獣害に困っている。 開発面積が広いだけに、住民が十二分に納得する対策をするべきでないか?
〔事業者の見解〕
 環境影響評価の対策項目である「生態系」の予測・評価において、サル、シカなどの種に対する影響を検討する必要があると考えております。 また地域の獣害問題については、工場としても行政や自治会の取り組みに可能な限り協力してまいります。

 この後も環境影響評価準備書に対する意見や県への意見陳述も行いましたが成果は何1つ得られませんでした。 今後は事業者と直接交渉する以外に道はありません。 腹をくくって臨まなければならないと思っています。
 たった1人の戦いを始めることになろうと思っています。 どなたか知恵を貸していただければありがたいです。
 

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県の「アセスメント入門」記事について        藤原昧々

まず、以下の三重県の広報欄記事を読んでみよう。
《三重県広報 環境アセスメント入門講座より  部分抜粋》 ・・・本BLOGでも全文紹介あり
            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
江戸時代の裏長屋を舞台とした物語をとおして環境アセスメントの姿を県民に紹介しています。

解説:環境アセスメントは情報交流のルール化によって、よりよい環境保全とそれに向けての合意形成をはかるものです。

隠居:相手をはなから悪人と決めつけては、いくら話し合っても無駄ですからね

隠居:上州屋さん(開発者)だって町内で商売するのに人にうらまれては為になりますまい。 それに蔵の建て方だっていろいろあるんじゃありませんかね。 上州屋さんのご都合がつく範囲で長屋の皆も納得するうまいやり方もみつかるかもしれませんよ

隠居:先程おっしゃった長屋への影響を調べて皆の衆に説明するっていうのはどんなもんでしょうかね。

八つぁん:そりゃああそこへ蔵を建てれば良い影響があるわけはない。

隠居:ここは一つその環境アセスメントなるものをやってみましょうかね

上州屋:本当にどういう影響があるのか、それについて当方としてはどう考え、どう手だてを講じるのかということをいずれお示しするのですが、まずはどういう事柄について、どういう調べごとをするかについて皆さんのお考えを聞かせていただきたいということでお集まりいただいた次第です

隠居:というような具合で、何をどう調べるのかについて皆の意見を聞いてみるスコーピング(方法書の手続)という手続が終わりまして、いよいよ上州屋さんが、ご自分の事業についての影響を調べて、その上で長屋の衆にその結果を示すことになります。

上州屋:それでは私どもの蔵が皆さんの長屋の環境に及ぼす影響について述べさせていただきます。

隠居:事柄によっては出来ることを全てやった上で分からないことは工事しながら注意していくということだってあるだろう。 先々のことですから絶対確実というほうがおかしいので、分からないからダメとか、後ではずれたら奉行所に訴えるとかいうのはおかしいよ。 
環境アセスメントってのは皆で知恵をだしあって、分からないことは分からないなりに一番いい方法を探そうってことですから、人をお縄にしたり、何が何でも自分の好き勝手を押し通そうというのはいけません。 
ともかく上州屋さんにもう少し調べてもらってその上で改めて上州屋さんの存念を聞かせていただきましょう

解説:物知りの人や火消しの「め組」の頭や奉行所のような関係機関の意見も聞いた上で、いよいよ最後の環境影響評価書というものが出来上がります。 (準備書の手続き/評価書の手続き)

上州屋:皆さんのご意見も十分聞かせていただいた上で評価書を作らせていただきました。
                                                          (以上)


                       疑問点  
〈ツブヤキ〉
長屋の熊さん八さんとご隠居さんを登場させて、なかなか巧みなアセスメント入門となっていて 一読の価値があります。  三重県環境部の方が作成されたのか、それとも中央官庁の役人さん作成のものの無批判な丸写しなのか興味津々です。
気になるのは、行政の方々の何とはなしの「上から目線」であり、各処におもしろい会話がある。 
前提として忘れてほしくないことは、環境に突然、大影響を及ぼす開発主体(事業者)は、つねに一般庶民の熊さん八つぁんではなくて、大企業や行政、国家であることです。 これをまず念頭においてほしい。

抜粋した文章をじっくりと味わってください。 庶民にはものものしい扱いがされています。 庶民が国家や大企業を「悪人」視して勝訴し「お縄にする」ことなどは現実にはほとんど不可能だし、もともとアセスの過程や趣旨には関係がありません。
住民を「悪人と決めつけている」のは、どうも作成者の県役人さんではないでしょうか?
              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

相手(事業者)を悪人(極悪人?)と決めつけては ...

奉行所に訴える(訴訟を起こし牢獄にぶちこむ) 
  
人(国家や大企業)をお縄に(犯罪者扱い)する 
  
何が何でも(無理無体に)

自分の好き勝手(住民のエゴ)を 押し通す(理不尽、強行)

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈ツブヤキ〉
お上意識に加えて注目されるのが、圧倒的に強力な事業者側が有利な条件をもつことが当然だと強調しかねない隠居さん(県?)の説諭です。 そして、事業者側が自由に開発できる前提にたってアセスメントが住民への妥協強要のステップになるアワセメントであることが説かれている点です。
         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上州屋さん(事業者側)のご都合のつく範囲で ... 

分からないことは工事しながら注意していくということだってあるだろう。

先々のことですから絶対確実というほうがおかしい

分からないからダメとか、では・・・

〈ツブヤキ〉
一見穏健・良識的な説明だが、こんな調子で大企業や行政は「自分の好き勝手を押し通し」(隠居さん)てきたんだな。 緑化の方策がなくても開発は進めるし、「絶対確実」はないから災害がおきても責任を取らないよ、で済むわけだ。 「先々のことですから起こりうることも想定しなければおかしい」という住民側の発想は封印されています。 「取り返しがつかない悲劇」への配慮がありません。 まさに行政が事業者側に立っていることの証明ではないでしょうか。

この感想、なんだか某週刊誌の記事みたいになってきた ....  やばい
                                                
                                    2012.01.03 記
                                                      

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