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ハルザキヤマガラシ情報ー5
2016年5月のハルザキヤマガラシ

去る5月18日に藤原岳山頂に4名で登ってきた。 この日は、同行の主導者が、三等三角点付近にあるヒメニラの確認や山頂のフクジュソウの葉の採取(専門家へのDNAサンプル送付)など複数の用があったため、ハルザキヤマガラシのほうは、実験地の様子を見たり古くなった目印の赤布の交換などが主となって、害草の駆除はほとんど短時間しか作業ができなかった。
18日はさわやかな晴天で、ふりそそぐ日光に洗い清められ、藤原岳・展望丘がこんなに陰影濃く美しく見えたのも久しぶりのように思えた。

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展望丘に居る人からは、グーグルマップの紹介写真数葉の誤った説明にあったとおり「5月中旬の麗しい高山植物群落」ならぬ「鉱山植物」の外来種・ハルザキヤマガラシが黄金色の海となって眼下に展開していたことだろう。  おなじことが、伊賀の山・旗山(649m)の山頂でも見られている。 ここも山頂近くまで鉱山会社が大きく山を掘削しており、山頂にはこのころ、ハルザキヤマガラシならぬジギタリスの花の群落が付近を紅く染めているはずだ。 ジギタリスは花期の長い花と聞くので、旗山山頂もこの「高山植物群落」で有名になり、以前にも増して親愛される山となるかもしれない。

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砕石・砂利をとるために削られた旗山        山頂まで土肌になった旗山

ここのわずかに残ったフクジュソウも知人の探求の努力の結果、ふつうのAdonis ramosa ならぬ他の種となるとのことで、藤原岳孫太尾根や入道ヶ岳のフクジュソウと同じく三重県下の貴重種として今後あつい保護が必要な花のようになりそうである。 この旗山は三重県下にあって亀山以西の名山、伊賀地区の名山として渋いハイカーに親しまれてきた山であり、ちょうど霊山と向かいあう位置に存在する。 藤原岳孫太尾根と同様に、この山も建材会社が砕石や砂利の採取を目的に山の半分近くを削りとっており、そのむきだしの土肌は名阪国道の車窓からも一望できる。 
今年2月に訪ねたおり、山頂の若芽の群落を見て、これ何なんだろうかと話題になり、一株持ち帰って庭で育ててみたら、なんと全草に猛毒をふくむジギタリスであり、鑑賞用ならびに薬用にも使われるというので、旗山や余野公園ちかくにある大手医薬品会社の薬草園あたりから鉱山開発に伴って逸出したと思われるが、あるいは鉄塔建設が関係したかもしれない。

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群落をなす旗山山頂の不明種             自宅で咲いたジギタリス

本題の藤原岳のハルザキヤマガラシのことに戻るが、現在、山頂におけるハルザキヤマガラシ非侵害の広野を観察すると、ササとイワヒメワラビの枯れ死に残骸と新しいイワヒメワラビの若葉が主たる植物のようである。 みなの目につく小屋周辺はさすがにハルザキヤマガラシの存在は見なかっが、いなべ市教育長の「まったく生育していない」という議会答弁とは異なって、展望丘がわの大斜面や山荘うらがわの丘陵にも、すでにハルザキヤマガラシは点々と進出しだしている。  旗山のジギタリスのように、いずれは藤原岳の山頂部全体もハルザキヤマガラシの展開がふつうの姿になるのかもしれない。 行政はこうした事態を放置しておいて良いのだろうか? 何らかの対策を講ずるべきではないのだろうか。

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咲きにおう「鉱山」植物ハルザキヤマガラシ    5、6月は黄金の帯になる

私たちには、駆除作業後の時間を経た結果の観察と反省が必要だ。それも長期の観察がだいじだ。 作業としては、春と夏後の年2回の抜き取り作業が必要ではないかと感じている。 これまでの経験では、2,3年の抜き取りの継続で、かつて密生していたハルザキヤマガラシの群落地は写真のとおり今回一本も生育を見ない場所にまで完全に押さえこむことができたが、その後の状況は不明であり、今後の見通しもそう甘くはないだろう。 左の写真では見づらいが、抜いたあとの土地には、在来種のヒロハアマナの葉が多数みられた。生育が楽しみだ。

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抜きつづけた実験地の現状             草木の無い山頂の広い空地

刈るにしろ抜くにしろ、処理した害草の放置方法の工夫が必要なように感じる。 抜いたものに土を大量に付けたままでは再び花を咲かし種子を生産し拡散してしまう。 ビニールシートなどで囲んで周囲を石で押さえ、内部の草を枯らす方法などはどうであろうか。

それと、山頂部の小屋ちかくまで鉱山会社の車道は伸びてきており、多数の作業者が会社の協力さえあれば道を使って容易にハルザキヤマガラシ駆除の現場まで車で往復できるようになっている。

今こそ藤原岳の自然保全への、行政と会社の姿勢を問いたい。        2016年5月25日

                                    藤原昧々 記




















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